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【訪問介護計画書の書き方】ケアプラン丸写しにならない書き方を解説
「利用者様の目標、ケアプランとほとんど同じ文言になっていませんか?」計画書に向き合うたび、書き方に迷った経験はサービス提供責任者なら誰しもあるはずです。 訪問介護計画には全国統一の様式がありません。
だからこそ、気づけばケアプランの文言をそのまま写してしまう。実は、運営指導で繰り返し指摘されるのはこのパターンです。
本記事では、忙しい毎日の中でも「評価できる目標」を書くコツを、現場経験を交えてお伝えします。
目次
なぜ「訪問介護計画」の書き方が悩みの種になるのか
この記事で扱う書類の正式名称は「訪問介護計画」です。
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号、以下「基準」)第24条に定められた法定書類です。 現場でよく使う「計画書」という呼び方と意味は同じですので、そのまま読み進めていただいて構いません。
では、なぜ書きにくいのでしょうか。理由のひとつは、様式の自由度が高すぎることにあります。
解釈通知「指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について」(平成11年老企第25号。以下「老企第25号」)は、記載すべき事項を示す一方で、様式については「各事業所ごとに定めるもので差し支えない」としています。
自由に作れるからこそ、ケアプランの丸写しや、ふわっとした目標が生まれやすいのです。
人手不足の問題も無視できません。厚生労働省が社会保障審議会・介護給付費分科会に示した資料によると、訪問介護員の有効求人倍率は令和4年度に15.53倍と過去最高を記録しました。
令和5年度も14.14倍。ヘルパーが足りず、サービス提供責任者自身が訪問に出ながら計画を書いている事業所は、決して珍しくないでしょう。
明日から直せる、訪問介護計画の書き方
「訪問介護計画」と「ケアプラン」の役割の違いを整理する
ケアプランの丸写しを防ぐには、まず両者の役割の違いを自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。ケアプラン(居宅サービス計画)は利用者様の生活全体の方針を示す設計図。訪問介護計画は、そのなかで「訪問介護として何を、どう提供するか」を落とし込んだ実行計画です。
では、訪問介護計画には何を書けばよいのでしょうか。老企第25号が挙げているのは、次の内容です。
- アセスメントに基づく問題状況の明確化
- 援助の方向性や目標
- 担当する訪問介護員の氏名
- サービスの具体的内容、所要時間、日程 など
基準第24条第2項には、訪問介護計画はケアプランの内容に「沿って」作成する、とあります。
ここで意識したいのは、「沿う」ことと「写す」ことは違うという一点です。この軸さえ持っておけば、書き分けに迷ったときに立ち返る場所ができます。
目標は「頻度・期間・具体行動」で評価できる文章に翻訳する
本記事で一番お伝えしたいのが、この目標の書き方です。ケアプランの目標をそのまま転記すると、どうしても抽象的な文章になります。
例えば「安心して自宅で生活できる」という目標。訪問介護計画では「6か月間、週2回の入浴介助で、安全に入浴を継続できる」と翻訳してみてください。
頻度・期間・具体行動の3つが見えれば、後から「できたか、できなかったか」を振り返れる目標になります。
期間をケアプランの短期目標に合わせておくと、モニタリングや見直しのタイミングも揃えやすくなります。
他の欄についても、書き換えの例を表にまとめました。
| よくある記載 | 正しい記載例 | |
|---|---|---|
| 目標 | 安心して自宅で生活できる | 6か月間、週2回の入浴介助で、安全に入浴を継続できる |
| 目標 | 清潔な住環境を維持できる | 3か月間、週1回の掃除支援で、居室の動線に物を置かない状態を保てる |
| サービス 内容 |
入浴介助 | 浴室までの移動は見守り、洗身は背部のみ介助、浴槽の出入りは手すり使用を声かけ |
| ご本人の 意向 |
自宅での生活継続を希望 | 「トイレだけは自分で行きたい」(ご本人)、「夜間の転倒が心配」(ご家族) |
※スマートフォンでご覧の場合は、表を横にスクロールしてご覧いただけます。
目標が抽象的なままだと、訪問時にどこまで介助し、どこから見守るか、ヘルパーごとに判断がぶれてしまいます。
筆者は訪問看護師として、連携先の訪問介護計画を数多く読んできました。「どこまで介助し、どこから見守るか」が一文で分かる計画には、正直なところ何度も助けられています。
逆に「安心して生活できるよう支援する」としか書かれていないと状況が読み取れず、電話で確認し直したことも一度や二度ではありません。 計画書はヘルパー間だけでなく、多職種連携の共通言語でもあるのです。
ご本人の意向は「本人の言葉」をできるだけ残す
意向欄をサービス提供責任者の言葉できれいに要約し切ってしまうと、ご本人・ご家族への説明や同意の場面で、かえって説得力が落ちることがあります。「一人でトイレに行きたい」「お風呂は自分のペースで入りたい」。 こうした、ご本人が実際に口にした言葉は、できるだけそのまま残しておきましょう。要約は必要な範囲にとどめ、生の声を活かすほうが、後々まで効いてきます。
「見守り的援助」を身体介護とするなら、共に行う根拠を書く
サービス内容の書き方で、特に気をつけたい項目があります。身体介護の「自立生活支援・重度化防止のための見守り的援助」です。 通知「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」(平成12年老計第10号。以下「老計第10号」)には、入浴や更衣の見守り、転倒しないように側について歩く移動時の見守り、利用者様と一緒に行う調理や洗濯などが例示されています。肝になるのは、安全を確保しつつ常時介助できる状態で行うという条件です。あわせて、自立支援・重度化防止に資するものとしてケアプランに位置づけられていることも前提とされています。
単なる見守りや家事の代行とどう違うのか。それが計画から読み取れなければ、算定の根拠を問われたときに説明できません。
「利用者様と一緒に行う」「必要時はすぐ介助できる位置で見守る」など、共に行う援助だと分かる表現で書いておきましょう。
サービス内容・説明同意交付・モニタリングを「型」にする
仕上げとして、抜け漏れを防ぐ「型」を事業所で持っておきましょう。サービス内容は、老計第10号が示す身体介護・生活援助の行為ごとの区分に沿って具体化し、誰が読んでも同じ理解ができる表現にします。
あわせて、次の4点もチェックリストにしておきたいところです。
- 説明・同意・交付の記録は残っているか(基準第24条第3項・第4項)
- ケアプランが変わったとき、訪問介護計画も変更後の内容に沿っているか(同条第2項、老企第25号)
- 計画の作成後、実施状況を把握して見直しているか。変更時に説明・同意・交付をやり直しているか(同条第5項・第6項)
- 押印欄の廃止や、電磁的記録による説明・同意・交付(令和3年度介護報酬改定で原則容認)を活用できているか
どれも、書類のどこかで「抜け」が生まれやすい工程ばかりです。
押印の廃止や電磁的記録の容認は、裏を返せば、ICT(情報通信技術)を使って記録の抜け漏れを減らせる余地が広がったということでもあります。
書類の不備が招くリスク
書類の不備が表面化するのは、多くの場合、運営指導の場面です。自治体が公表している指摘事例集を見ると、「訪問介護計画が作成されていない」状態で初回加算を算定していた事例があります。
また、「居宅サービス計画及び訪問介護計画に記載がなく、利用者等の同意を得ずに、2人の訪問介護員により訪問介護を提供」して報酬を算定していた、という事例もありました。いずれも介護報酬の算定誤りとして扱われています。
計画に書かれていないサービスは、提供した根拠を後から示せないというのが怖いところです。
計画の不備は是正指導の対象となるほか、算定要件を満たさないと判断されれば、報酬の返還を求められる可能性もあります。
こうしたリスクの根っこを辿ると、書類の質がサービス提供責任者一人の経験や力量に左右されやすい、という構造的な課題に行き着きます。
まとめ
訪問介護計画の書き方は、法令遵守というリスク対策の話だけではありません。
目標を評価できる「文章に翻訳する」「ご本人の言葉を残す」「記載事項を型にする」、この3つは運営指導への備えであると同時に、ご本人・ご家族に伝わる計画書づくりにもつながります。
書き方の「型」を事業所で共有しておけば、新任のサービス提供責任者を育てる負担も軽くなるのではないでしょうか。
こうした「型」づくりには、デジタルツールの力を借りるのも一つの方法です。
「Care-wing(ケアウイング)」には、計画書から取り込んで編集できるモニタリング機能や、サービス提供責任者からヘルパーへの指示出し・報告の機能が搭載されています。
計画に位置づけた内容がそのまま現場に伝わり、実施状況が記録として残る。この流れができると、事業所全体での書き方の標準化がぐっと進めやすくなります。
まずは資料をダウンロードして、自事業所の訪問介護計画の様式と見比べてみるところから始めてみてはいかがでしょうか。
<ライター> 宮田 浩行
介護福祉士7年、看護師8年、計15年以上の医療福祉経験を持つ専門家。
介護老人保健施設、看護小規模多機能、訪問看護、有料老人ホームでの勤務を経て、現在は医療福祉分野のライターとして活動。 介護と看護の両資格を活かした現場目線のわかりやすい記事で、医療福祉従事者の課題解決と質の高いケアの実践に貢献。
介護福祉士7年、看護師8年、計15年以上の医療福祉経験を持つ専門家。
介護老人保健施設、看護小規模多機能、訪問看護、有料老人ホームでの勤務を経て、現在は医療福祉分野のライターとして活動。 介護と看護の両資格を活かした現場目線のわかりやすい記事で、医療福祉従事者の課題解決と質の高いケアの実践に貢献。
