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あなたの事業所の職員・ヘルパーは?人材確保・人材定着の課題と取り組みの状況

事業所運営において、利用者数や売上など運営維持に大切なことは沢山ありますが、中でも重要視されているのが「人材」です。
昨年10月には介護職員等ベースアップ等支援加算(通称:ベア加算)の創設などから、「人材確保」「人材定着」が大きな課題となっています。

さて、あなたは事業所で働く職員・ヘルパーがどんなことを考えて勤められているのか考えたことはありますか?
面接や入社対応を担う方なら、直接耳にすることもあるかと思いますが、職員・ヘルパーの『働きやすさ』が 「人材確保」や「人材定着」の大きなカギとなり得るのです。

今回はそんな、「人材確保」と「人材定着」の課題や状況について、介護労働実態調査の結果を元に一緒に確認していきましょう。

運営する上での問題点は人材や財源の確保


まずは事業所を運営する中で、不足や課題点はどんなことがあるのかを確認しましょう。


※公益財団法人 介護労働安定センター「介護労働の現状について令和2年度 介護労働実態調査の結果」より引用


  • 良質な人材の確保が難しい・・・・53.2
  • 今の介護報酬では、人材確保・安定のために十分な賃金を払えない・・・・43.2
  • 指定介護サービス提供に関する書類作成が煩雑で、時間に追われている・・・・29.8
  • 経営(収支)が苦しく、労働条件や労働環境改善をしたくてもできない・・・・27.6
  • 教育・研修の時間が十分に取れない・・・・27.3

その他にも、コミュニケーションの不足や様々な情報のインプットの時間が取れないことが問題に上がっていることも多いようです。

次に現在の職場に就職した理由を確認してみましょう。

就職の決め手が人材定着につながるポイント



※公益財団法人 介護労働安定センター「介護労働の現状について令和2年度 介護労働実態調査の結果」より引用


これは特段、介護や福祉分野だからという内容ではなく、どんな職業に対しても同様に考える人が多いのではないでしょうか?
しかし、表のような条件を充実させることで、応募数を増やすことが出来るかもしれません。

では、離職してしまった方の理由についても確認してみましょう。

介護関係の仕事を辞めた理由から人材定着に繋がる要素を探る



※公益財団法人 介護労働安定センター「介護労働の現状について令和2年度 介護労働実態調査の結果」より引用

ここで注目したいのは、男女で退職した理由が違う点です。

■男性
  • 自分の将来の見込みが立たなかったため・・・26.9
  • 職場の人間関係に問題があったため・・・26.7
  • 法人や施設・事業所の理念や運営のあり方に不満があったため・・・23.4
  • 収入が少なかったため・・・22.9
■女性
  • 結婚・妊娠・出産・育児のため・・・23.9
  • 職場の人間関係に問題があったため・・・23.2
  • 他に良い仕事・職場があったため・・・15.9
  • 法人や施設・事業所の理念や運営のあり方に不満があったため・・・15.6

と、あるようにあるように人間関係や事業所運営など、実際の業務以外の部分あるいは、業務に繋がる部分に職員・ヘルパーを退職させる原因があるようです。

しかし、前段で紹介した"就職の決め手となった理由"で法人理念や事業所の経営、職場環境等の特徴的な項目(赤枠)の割合が少ないのは、
職員・ヘルパーの「やりがい」や「すぐに自分に繋がるメリット」の比重が大きかっただけかもしれません。
実際に職員・ヘルパーが辞めるまで、見落としていたこの点が、重要な人材定着の要素だったのではないでしょうか。

離職者の勤続年数の内訳から見る人材定着のタイムリミット


次の表では、「勤続3年未満の離職者が全体の約6割」という結果が出ています。
離職率を引き上げているのは、勤続年数の短い労働者が要因とも言え、「採用から3年の間」というのが 人材定着のカギとなる時間と考えられます。


※公益財団法人 介護労働安定センター「介護労働の現状について令和2年度 介護労働実態調査の結果」より引用

その間、職員・ヘルパーのこの職場で働くメリットや働きやすい環境を整備すること、他の事業所や他業種へ貴重な人材を流出させないための試みなどが必要になると言えるでしょう。

事業所内の業務効率化を進めることが従業員の働きやすさに繋がる


業務の中には手間や時間が掛かることは沢山あると思います。
しかし、手間や時間がかかることが「普通」と思っている間は何も変えることはできません。「普通」の業務の中には、時間が掛かることを見越して、余裕を持ってその業務にあたる場合や、時間が取れなくて残業をすることを前提に業務のスケジュールを組むことがやむを得ないと諦めてしまうこともあると思います。

また指示・報告などの情報連携の際、複数回におよぶ電話やメール等の煩雑さにより、貴重な時間を使ってしまう方も多いかと思います。

しかし、このような状況では、職員・ヘルパーの不満や異変に気付くことができずに過ぎてしまっているかもしれません。
ICTツールの活用によって事業所の中で業務効率化を図ること、情報の見える化を図ることが、職員・ヘルパーの働きやすさに繋がり、人材定着に繋がった事例がありますのでご紹介します。


人材定着や人材確保(採用)に向けては、多角的な検討が必要になりますが、
どこかでしっかりと向き合う時間を作らなければならないことには変わりありません。

職員・ヘルパーの働きやすい環境を作るために、業務内容を整備することは一つの手段です。
これを機に人材定着の取り組み状況を確認してみてはいかがでしょうか?

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