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【令和3年度版】介護職員等特定処遇改善加算の要件と配分ルールについて
2019年10月より新たに創設された「介護職員等特定処遇改善加算」
約半数の訪問介護事業所が取得しているというデータもありますが、これからの取得を検討している事業所の方も多いのではないでしょうか?
本記事では介護職員等特定処遇改善加算の要件や配分ルールについて解説いたします。
1.介護職員等特定処遇改善加算とは?
「介護職員等特定処遇改善加算」とは、技能・経験のある介護職員の処遇改善を目的に、介護報酬を加算して支給する制度です。
現行の、介護職員処遇改善加算に上乗せする形で給付されるのが特徴です。
【介護職員等特定処遇改善加算イメージ】
≪コラム記事≫『【令和3年度版】介護職員等処遇改善加算の算定要件』はコチラ
介護職員等特定処遇改善加算の加算率
介護職員等特定処遇改善加算は以下の通りです。
【介護職員等特定処遇改善加算の加算率】
サービス区分 | 加算率 | |
---|---|---|
特定処遇改善加算(Ⅰ) | 特定処遇改善加算(Ⅱ) | |
訪問介護、夜間対応型訪問介護、 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 |
6.3% | 4.2% |
居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護 | 7.0% | 5.5% |
訪問介護においては、加算I=6.3%・加算Ⅱ=4.2%となります。
訪問系の障害福祉サービスにおいては、加算I=7.0%・加算Ⅱ=5.5%となり、事業所にとっても非常にメリットのある加算と言えます。
介護職員等特定処遇改善加算の取得率
では、介護職員等特定処遇改善加算を取得している事業所はどれくらいあるのでしょうか?
以下、グラフにまとめてみました。
【介護職員等特定処遇改善加算の取得率】
出典:厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果より抽出」
介護職員等特定処遇改善加算を取得している事業所は加算(Ⅰ)・加算(Ⅱ)の合算で49%あります。
このグラフによると、まだ約半数の事業所が取得していないということがわかります。
2.介護職員等特定処遇改善加算の要件
介護職員等特定処遇改善加算の要件は以下の通りです。
それぞれ詳しく解説いたします。
- 現行の介護職員処遇改善加算(Ⅰ)から(Ⅲ)までを取得していること
- 介護職員処遇改善加算の職場環境等要件に関し、複数の取組を行っていること
- 介護職員処遇改善加算に基づく取組について、ホームページへの掲載等を通じた見える化を行っていること
また、特定事業所加算(Ⅰ)または(Ⅱ)を取得することで「介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ)」の取得が可能となります。
現行の介護職員処遇改善加算(Ⅰ)から(Ⅲ)までを取得していること
現行の介護職員処遇改善加算の要件は以下の通りです。
令和3年度報酬改定により加算(Ⅳ)(Ⅴ)は廃止となっています。
【介護職員処遇改善加算の区分と算定要件】
≪コラム記事≫『【令和3年度版】介護職員等処遇改善加算の算定要件』はコチラ
介護職員処遇改善加算の職場環境等要件に関し、複数の取組を行っていること
現行の介護職員処遇改善加算の要件は以下の通りです。
令和3年度報酬改定等で一部要件が変更になっていますので注意が必要です。
【令和3年度】6つの区分のうち、3つの区分について1項目以上の取り組みを行う
【令和4年度】6つの区分について、すべての区分で1項目以上の取り組みを行う
【職場環境等要件一覧】
内容 | |
---|---|
入職促進に向けた取組 | ・法人や事業所の経営理念やケア方針・人材育成方針、その実現のための施策・仕組みなどの明確化 ・事業者の共同による採用・人事ローテーション・研修のための制度構築 ・他産業からの転職者、主婦層、中高年齢者等、経験者・有資格者等にこだわらない幅広い採用の仕組みの構築 ・職業体験の受入れや地域行事への参加や主催等による職業魅力度向上の取組の実施 |
資質の向上や |
・働きながら介護福祉士取得を目指す者に対する実務者研修受講支援や、より専門性の高い介護技術を取得しようとする者に対する喀痰吸引、 認知症ケア、サービス提供責任者研修、中堅職員に対するマネジメント研修の受講支援等" ・研修の受講やキャリア段位制度と人事考課との連動 ・エルダー・メンター(仕事やメンタル面のサポート等をする担当者)制度等導入 ・上位者・担当者等によるキャリア面談など、キャリアアップ等に関する定期的な相談の機会の確保 |
両立支援・ |
・子育てや家族等の介護等と仕事の両立を目指す者のための休業制度等の充実、事業所内託児施設の整備 ・職員の事情等の状況に応じた勤務シフトや短時間正規職員制度の導入、職員の希望に即した非正規職員から正規職員への転換の制度等の整備 ・有給休暇が取得しやすい環境の整備 ・業務や福利厚生制度、メンタルヘルス等の職員相談窓口の設置等相談体制の充実 |
腰痛を含む心身の健康管理 |
・介護職員の身体の負担軽減のための介護技術の修得支援、介護ロボットやリフト等の介護機器等導入及び研修等による腰痛対策の実施 ・短時間勤務労働者等も受診可能な健康診断・ストレスチェックや、従業員のための休憩室の設置等健康管理対策の実施 ・雇用管理改善のための管理者に対する研修等の実施 ・事故・トラブルへの対応マニュアル等の作成等の体制の整備 |
生産性向上のための 業務改善の取組 |
・タブレット端末やインカム等のICT活用や見守り機器等の介護ロボットやセンサー等の導入による業務量の縮減 ・高齢者の活躍(居室やフロア等の掃除、食事の配膳・下膳などのほか、経理や労務、広報なども含めた介護業務以外の業務の提供)等による役割分担の明確化 ・5S活動(業務管理の手法の1つ。整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字をとったもの)等の実践による職場環境の整備 ・業務手順書の作成や、記録・報告様式の工夫等による情報共有や作業負担の軽減 |
やりがい・働きがいの醸成 | ・ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化による個々の介護職員の気づきを踏まえた勤務環境やケア内容の改善 ・地域包括ケアの一員としてのモチベーション向上に資する、地域の児童・生徒や住民との交流の実施 ・利用者本位のケア方針など介護保険や法人の理念等を定期的に学ぶ機会の提供 ・ケアの好事例や、利用者やその家族からの謝意等の情報を共有する機会の提供 |
介護職員処遇改善加算に基づく取組について、ホームページへの掲載等を通じた見える化を行っていること
以下の内容について、介護サービス情報公表制度を活用し、公表を行っていること
- 処遇改善に関する加算の算定状況
- 賃金以外の処遇改善に関する具体的な取り組み内容 (※事業所のホームページがある場合は、そのホームページでの公表でも良い)
3.介護職員等特定処遇改善加算の配分ルールについて
すべての職員を以下3つの区分に分けたうえで配分を行います。
- A「経験・技能のある職員」
- B「その他の介護職員」
- C「介護職員以外の職員」
【介護職員等特定処遇改善加算の配分ルール】
A(経験・技能のある職員)は勤続10年以上の介護福祉士を基本としていますが、A(経験・技能のある介護職員の定義)の区分は法人内で設定が可能です。
- 平均賃上げ額はB(その他の介護職員)はA(経験、技能のある介護職員)より小さくなくてはいけない
- 「A(経験・技能のある介護職員)」のうち1人以上は、月額8万円の賃上げ、または年収440万円までの賃金増が必要
【特例が認められる場合】
小規模の介護福祉事業所で加算額が少額である場合、職員全体の賃金水準が低い介護福祉事業所などで、直ちに一人の賃金を引き上げることが困難な場合、8万円以上等の賃金改善を行うにあたり、これまで以上に介護福祉事業所内の階層、役職やそのための能力、処遇を明確化することが必要となるため、規程の整備や研修、実務経験の蓄積などに、一定期間要する場合など、事情がある場合は、月額8万円以上の賃上げまたは年収440万円までの賃金増の条件を満たさなくても加算の申請が認められる場合があります。
4.介護職員等特定処遇改善加算の申請について
- (1)介護職員処遇改善計画書・介護職員等特定処遇改善計画書
- (2)特別な事情に係る届出書(※必要に応じて)
加算を希望する月の前々月末日までに申請
※一般的な例となりますので、加算取得時は改めて指定権者へご確認ください。
参考:
厚生労働省『令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果』
厚生労働省『介護給付費分科会第169回(H31.3.6)介護人材の処遇改善について』