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【必見】処遇改善加算・特定事業所加算の維持にも影響!運営指導と今から始められる対策とは?
令和6年度の報酬改定で、今まで加算を取得されていた方も、これから取得する予定だった方も、
新たに加算の申請をされていらっしゃるかと思います。
加算を取得するには要件に合わせて体制を整えたり、必要な書類を準備したり、とても煩雑な対応が伴います。
また忙しい業務の中で苦労して取得した加算を維持するには、いつ「運営指導」を迎えても良いように現状クリアしている要件を定期的に見直すことが重要です。
今回は「運営指導」の流れから、処遇改善加算・特定事業所加算取得後の指摘事項など中心に、 今から始められる対策について解説していきます。 是非ご参考ください。
運営指導・集団指導・監査の違い
介護保険制度における指導と監督について、厚労省は以下のように表明しています。
国や自治体等の行政機関は、介護保険施設等が適正にサービスを行うことができるよう支援する必要があり、
介護等が必要な人の「尊厳の保持」及び「自立 した日常生活の支援」という目的を果たすよう
適切にサービスが行われているかを確認することになっています。
介護保険制度における指導監督は、介護保険制度の健全かつ適正な運営及び法令に基づく適正な事業実施の確保のため、
法第23条又は法第24条に規定する権限を行使し介護保険施設等指導指針2に基づき行う介護保険施設等に対する「指導」、
不正等の疑いが認められる場合に行う法第76条等3の権限を行使し介護保険施設等監査指針4に基づき行う
介護保険施設等に対する「監査」により行われます。
※厚生労働省老健局総務課介護保険指導室「介護保険施設等運営指導マニュアル」より抜粋
法第23条又は法第24条に規定する権限を行使し介護保険施設等指導指針2に基づき行う介護保険施設等に対する「指導」、
不正等の疑いが認められる場合に行う法第76条等3の権限を行使し介護保険施設等監査指針4に基づき行う
介護保険施設等に対する「監査」により行われます。
※厚生労働省老健局総務課介護保険指導室「介護保険施設等運営指導マニュアル」より抜粋
国及び地方自治体の指導の目的
介護保険施設等が適正なサービスを行うことができるよう支援し、「介護給付等対象サービスの取扱い」及び「介護報酬の請求」に関する「周知の徹底」を図り、「サービスの質の確保」や 「保険給付の適正化」が果たされるように努めることにあります。
そのため、運営指導は、施設系は、4年に1回以上、その他は指定の有効期間中(6年間)に少なくとも1回以上実施されることになっています。
■【参考】介護保険制度における介護保険施設・事業所に対する指導監督のフロー
※「実地指導」は確認する内容によってはオンラインツールを活用して実施するケースもあることから、2022年に『運営指導』という名称に変更されました。
運営指導の流れ
自治体によって独自の項目があるケースもありますが、主に以下のような流れで進められます。
- 自治体から事業所へ運営指導の実施通知を送付(約1か月前)
- 事前提出書類の提出(約2週間前)
- 対象事業所において運営指導(運営指導当日)
- 運営指導の結果通知を送付(運営指導後、概ね1か月以内)
- 改善状況報告書の提出(結果通知後、30日以内)
不適正なサービスの提供や不正請求等の悪質な法令違反を行った事業所に対しては、改善勧告等の指導や改善命令・指定取消などの行政処分を行う場合があります。
当日の流れ(例)
- あいさつ及び説明 運営指導の根拠法令、各担当者の自己紹介及び役割分担、当日の流れの説明、
- 事業所内見学 設備基準、掲示物等の確認のため、必要に応じて事業所内を見学します。
- 書類審査及びヒアリング 関係書類の審査と担当職員へのヒアリングを行います。
- 講評 運営指導当日に確認できた状況について講評します。
終了予定時刻、運営指導結果についての留意事項等について説明します。
└説明者として職員の同行が必要
└営指導の開始時刻が午前であって午前中に運営指導が終了しない場合は、事業所外で1時間ほど昼食休憩をした後、午後に再開
└正式な運営指導結果については、後日文書により通知
※参照・引用:大田区「運営指導当日における流れの概要」より
運営指導で確認されること
- サービスの質に関する確認 ⇒【介護サービスの実施状況指導】
- サービスの質を確保する体制に関する確認 ⇒【最低基準等運営体制指導】
- 報酬請求に関する確認 ⇒【報酬請求指導】
確認書類(訪問介護の場合)
確認書類には「個別サービスの質に関する事項」「個別サービスの質を確保するための体制に関する事項」の各項目に合わせて、必要な書類を準備する必要があります。 ここではその一部を抜粋してご紹介いたします。
※参照:厚労省「介護保険施設等運営指導マニュアル 別添 確認文書・確認項目一覧」
個別サービスの質に関する事項
- 重要事項説明書(利用申込者の同意があったことがわかるもの)
- 利用契約書
- サービス担当者会議の記録
- 居宅サービス計画
- 訪問介護計画(利用者の同意があったことがわかるもの)
- サービス提供記録
個別サービスの質を確保するための体制に関する事項
- 勤務体制一覧表、勤務実績表(タイムカード、勤怠管理システム)
- 運営規程
- 雇用の形態(常勤・非常勤)がわかるもの
- 従事者の資格証
- 研修の計画及び実績がわかるもの
- 緊急時対応マニュアル
- 苦情への対応記録
- 事故対応マニュアル
- 再発防止策検討の記録
- ヒヤリハットの記録
詳しい確認項目や項目別の確認書類について、チェックシートを無料配布しています。
気になった方は以下のボタンよりお気軽にお問い合わせください。
運営指導で指摘された事例
次に運営指導で実際にあった指摘事例をご紹介します。「そんなの当たり前」「ちゃんとやってる」と思っていることでも、実際書類を準備していると抜け漏れがあり指摘されるケースもあります。
また加算取得済みの方向けに、加算の維持にも繋がる事例もあわせてご紹介します。
運営指導で指導された事例
■指摘事項1
サービス提供の記録はあるが、一部のサービスの提供(通院介助)の記録に利用者の心身の状況その他必要な事項を記録していない。
■指摘事項2
一部の利用者について、サービス提供の記録の記載漏れがある。
■指摘事項3
サービスを提供したことのみの記録で、利用者の心身の状況がわかる記録となっていない。
サービス提供の記録はあるが、一部のサービスの提供(通院介助)の記録に利用者の心身の状況その他必要な事項を記録していない。
■指摘事項2
一部の利用者について、サービス提供の記録の記載漏れがある。
■指摘事項3
サービスを提供したことのみの記録で、利用者の心身の状況がわかる記録となっていない。
【 指導事例1・2・3 共通の指導内容 】
サービスを提供した際には、提供日、提供した具体的なサービスの内容、利用者の心身の状況その他必要な事項を記録すること。
■指導事例4
運営規定が実態と異なっている。
運営規定が実態と異なっている。
【 指導事例4の指導内容 】
運営規程は実態と差異のないよう作成すること。 重要事項説明書についても整合性をとる。
■指導事例5
記録の保管年限が自治体の定める期間になっていない。
記録の保管年限が自治体の定める期間になっていない。
【 指導事例5の指導内容と補足 】
ケア提供に関連する記録書類は、介護保険の運営基準では「完結の日から2年」とされていますが、
現在は各自治体が条例を設置できるため、自治体の定める保管期間を確認する必要があるのでご注意ください。
例)那覇市では記録の保存年限はサービス完結の日から5年とする。
保存整備すべき記録の内容も整える。
運営指導で指摘された報酬返還指導の事例
■指導事例6
特定事業所加算を算定しているが、訪問介護員ごとに作成した研修計画に基づく研修を実施していない。
特定事業所加算を算定しているが、訪問介護員ごとに作成した研修計画に基づく研修を実施していない。
【 指導事例6の指導内容 】
特定事業所加算を算定する場合は、すべての訪問介護員等に対し、訪問介護員ごとに研修計画を作成し、当該計画に従い、研修を実施すること。
■指導事例7
一部の利用者について、訪問介護計画を作成せずに報酬を請求している。
一部の利用者について、訪問介護計画を作成せずに報酬を請求している。
【 指導事例7の指導内容 】
訪問介護計画の作成に当たっては、利用者の状況を把握・分析し、訪問介護の提供によって解決すべき問題状況を明らかにし(アセスメント)、これに基づき、援助の方向性や目標を明確にし、担当する訪問介護員等の氏名、訪問介護員等が提供するサービスの具体的内容、所要時間、日程等を明らかにすること。
※参照・引用:青森市「令和4年度運営指導の結果について」、那覇市「運営指導における 指摘事項等について」
煩雑な運営指導の要件を管理していくには?
運営指導は通知がきても何から準備すればいいのか分からない方も多くいらっしゃると思います。
事業所によっては従業員でチームを組んで、準備することもあるようですが、昨今の人手不足の中準備するとなると、その苦労ははかり知れません。
運営指導で指摘のあるサービスの記録漏れや、利用者の印鑑が押されてなくて、印鑑の為に訪問するなど日常のサービスでも起き得ます。 運営指導対策には、まず日々の業務から見直す必要があるかもしれません。
運営指導を見据えて、日々の業務の改善をしていく必要性
Care-wingは運営指導でも指導事例が多い、サービスの記録漏れを防ぐことができます。
紙の記録用紙だと、ヘルパーが用紙をなくしてしまったり、利用者の押印が漏れてしまうなんてこともあるかと思いますが、 サービス終了時の利用者の押印についても、印鑑やサインを貰う必要がないため、貰い忘れを心配する必要もありません。
また記録と訪問の証拠をICタグというシール状のチップを使って管理するため、GPSやQRより正確な訪問の証拠にもなります。
日常的にいつ運営指導が来ても対応できるような体制を作るということも、いざその時がきたときのためにも重要です。
Care-wingはそんな運営体制づくりのひとつのカギになるかもしれません。
また加算申請をされている場合、運営指導で加算の要件に沿って体制が整えられ、書面が残っているかを確認されます。
例えば個別研修や法定研修についても書面を残すことはできても、問題の研修計画をたてることに悩まれる方も多くいらっしゃるかと思います。
Care-wingではスマホ(サービス名:Carepho(ケアホ))のレンタルサービスも行っており、Carephoをご利用いただくことで追加できる、 法定研修や個別研修にも役立つ研修配信サービス「Carepho介護研修」をスタートしました。
業務効率化を実現しつつ、加算維持や運営指導対策を日々ルーティンとしてできる体制を整えることが一番のポイントでしょう。
現在運営指導で必要な書類のチェックシートを無料で配布しています。
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