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訪問介護事業所の離職率はどれくらい?離職を減らすためにできることとは

令和2年度 介護労働実態調査が公表

2021年8月23日に「令和2年度 介護労働実態調査結果」が公表されました。

この調査は公益財団法人介護労働安定センターが毎年実施しており、事業所からのアンケートをもとに、介護労働者の雇用の状況や賃金制度、人材確保の状況等を調査・分析することにより、介護分野で働く労働者の労働環境に関する問題点を明らかにし、介護事業所による雇用管理改善のための基礎資料を得ることを目的として実施されました。

今回は毎年注目にあがる、離職率や採用率などの雇用管理状況について、訪問介護とその他サービスを比較してまとめました。

参考:令和2年度 介護労働実態調査結果

令和2年度介護労働者の採用率・離職率

調査結果によると、訪問介護員、サービス提供責任者、介護職員の1年間(令和元年10月1日~令和二年9月30日)の3職種合わせた採用率は16.0%、離職率は14.9%となりました。

職種別に見ると、訪問介護員の採用率は15.0%、離職率は15.6%となっています。全体から見ると訪問介護は採用率は若干低く、離職率は若干高いという結果となっています。

では、介護労働者と、他の産業で比べてみるとどうでしょうか?

全産業の入職率は16.7%、離職率は15.6%と介護業界だけが極端に低い数値ではないようです。

介護業界の従業員不足状況

本調査ではそのほか従業員の過不足状況についても結果が出ています。

全体の介護事業において「人手が不足している」(大いに不足、不足、やや不足の合計)と回答したのは、60.8%で半数以上の事業所が人手不足を感じているという結果になりました。

この中でも、訪問介護員が「不足している」と回答したのは80.1%と、極端に高い数値となっています。

ホームヘルパーの求人倍率が約15倍という調査もあり、やはり多くの訪問介護事業所では人手が不足していることが顕著です。

また不足している理由としては、「採用が困難である」という回答が86.6%で、どの事業所に関しても介護労働者の確保にはかなり苦戦を強いられているといえます。

「採用が困難である」と回答した事業所の中からその原因をどのように感じているのかについては「他産業と比べて、労働条件が良くない」が53.7%、「同業他社との人材獲得競争が激しい」が53.1%となりました。

他産業だけでなく、同業他社との人材の奪い合いという状況になっています。

一筋縄では行かない採用競争ですが、介護事業者が今後人手を確保していくためには「他産業と比較したときの介護業界の魅力」だけではなく、「同業他社と比較したときの自社の魅力」というのをアピールする必要がありそうです。

訪問介護事業者は人材不足にどう立ち向かえばいいのか

今後、2025年に向けて介護従事者が大きく不足するいわゆる「2025年問題」というのがあり、今後さらに人材獲得競争は激しくなってくることが予想されます。

そういった環境下で介護事業者は他社にない魅力を打ち出し、自社に人材を引き込むことが必要になります。

また、新規の採用だけではなく、今いる人材により長く働いてもらい定着率を上げていく努力も必要になってきます。

ではそのために何をしなければならないのでしょうか。

今すぐできることの一つとして、他社と比べて働きやすい環境を作る、という選択肢があります。

訪問介護は基本的にヘルパーが利用者宅に一人で訪問し、ケアを提供します。

そのため、事業所が変わったとしても原則提供するサービスは同一で、A事業所で働いてもB事業所で働いても行うことは同じです。

そういった中で、働きやすい環境を作る方法の一つとして「ICTの活用」があります。

従来、ヘルパーは毎回のサービス提供時に記録した紙のサービス提供記録を、月に1-2回事業所に持っていく必要があります。

また、多くの事業所では利用者に関わる申し送りやシフト変更などの情報共有は電話や口頭・メールなどで行われることも多く、うっかり情報を聞き間違えたり、逆に事業所側が伝え間違えたりということが発生してしまいます。

ときには申し送りに関して言った・言わないなどで問題になることもしばしば。

その原因としては昔から行っているアナログな事業所運営によるところが少なくありません。

そういったアナログな業務を、ITを活用して多くの従業員にとって働きやすい職場を作ることができるのがICTです。

訪問介護においては、利用者の情報や、シフト情報、日々の記録をスマートフォンで管理する「訪問介護記録ソフト」や「訪問介護記録システム」を使うことで解決ができます。

他産業では当たり前のように普及しているITが、介護業界ではまだ比較的普及しておらずしてアナログな業務の多いのが現状です。

アナログな業界であることによって、若い世代や、ITをに馴染みのある人材にとっては敬遠される材料になりかねません。

ICTを活用することはその心配もなくせることから他産業からの人材獲得につなげることもできます。

同業他社との差別化をし、より先進的な働き方をつくることで、人材確保や定着促進に役立ててはいかがでしょうか。

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