「コラム」
2020/11/18
目次
昨今、厚生労働省などを中心に介護業界の人手不足解消のため、ICTを導入することによって業務効率化をし、来る「超高齢社会」に備えていく動きが広まっています。
また、新型コロナウイルス感染症の拡大も相まって、テレワークなどが叫ばれるようになり介護業界にもICT化の波が押し寄せています。
政府も補助金や助成金などで後押しをしており、これまで以上に多くの介護事業者様でICTの活用・テレワークが広がりを見せています。
ですが、ICTの導入コストは決して安いものではなく、これまで紙を用いたり、対面で行っていたりした業務ICT化することに関して躊躇されている介護事業者様も多いのではないでしょうか。
そこで、実際の事例を元に訪問介護事業所で介護記録ソフトを導入した際に、現在のコストがどれだけ減らせて、システムの導入に対して費用対効果はどうなのかなどをまとめました。
実際に介護記録ソフトを導入し、ICTを活用したことによって効率化がはかれた事業所さまでの一例を紹介します。
【事業所規模】
サービス提供責任者/ヘルパー人数:約15名
利用者人数:約85名
こちらの事業所様では合計92時間の業務時間が記録ソフトの導入によって削減できました。
一方でシステムの導入によって増えるコストもあります。
その代表的なものが介護記録ソフトの使用料金とヘルパー持つためのスマートフォン端末の費用です。
記録ソフトの料金は、主にクラウド型のサービスの場合月額の課金体系が多く、月数千円~数万円とメーカーによってまちまちですが、上記の削減できるコストから見ると十分に費用対効果があると言えます。
またスマートフォン端末費用ですが、こちらも各人が持つ端末を活用することができれば0円に抑えられます。
事業所様によっては、個人端末を使って貰う場合は別途通信費として500円程度支給されているという事例もあります。ただし、その際は十分セキュリティへの配慮が必要です。
事業所から端末を貸与する場合においては、昨今格安スマートフォン端末も普及していますし、メーカーがレンタルのスマートフォンを提供している場合もありますので、それを活用することで費用を抑えて運用することができます。
訪問介護記録ソフト導入による業務削減効果についてですが、上記のように業務効率化による事務作業時間の削減効果は大きく、削減できた時間をサービスの提供に当てたり、働きやすい職場を作ることによる人材採用・定着したりすることによって十分費用対効果は感じられるのではないでしょうか。
一方で注意しなければならないのが、導入するソフトによっては十分な効果が得られないというリスクです。
介護業界にICTが普及してきたことによって、現在様々なメーカーが記録ソフトの市場に参入をしてきています。
メーカーによっては介護業界の知識があまりなく、ITの知識だけでシステム開発を行っているケースも有り、システムを導入したはいいもののあまり業務効率化の効果を感じられない、といった相談をいただくことが最近増えております。
特に記録システムに関しては、サ責を始めヘルパーも毎日使用するものなので、そのソフトの持つ機能が自社の運用にあっているのかデモンストレーションなどで必ずチェックをすることが重要です。