「コラム」
2019/12/16
訪問介護事業所で算定できる加算率の高い加算の一つに「特定事業所加算」があります。
サービスの質の高い事業所を積極的に評価する観点から、人材の質の確保やヘルパーの活動環境の整備等を行っている事業所に加算がされる制度であり売上アップが期待できます。
特定事業所加算にはⅠ~Ⅳがあり、体制要件と人材要件・重度対応要件を整備することが必要で、満たす項目によって算定できる加算が異なります。加算率は以下のようになっております
Ⅰ…20%、Ⅱ…10%、Ⅲ…10%、Ⅳ…5%
特定事業所加算を算定している事業所の割合は全体の約4割程度といわれております。
6割の事業所では算定しておらず、算定している事業所としていない事業所では同じ訪問回数でも最大で20%の売上の差が出ているということになります。
それでは特定事業所加算するとどのようなメリットが有るのか、ということをまとめました。
「処遇改善加算」によって増えた収益は職員の処遇改善に当てなければならないと決まっていますが、特定事業所加算によって増えた収益は事業所の自由に使うことができます。
職員の給与や賞与にあてたり、新規ビジネスの投資にあてたりなど様々な用途で利用することが可能なため安定した経営を維持することができます。
2021年度にも介護報酬改定が予定されていますが、基本報酬がプラスとなるかどうかの見通しはまだ不透明であり、加算の取得によって健全な経営体制を維持しようという声もよく聞かれます。
そもそも質の高いサービスを提供している事業所を評価するための加算なので、算定している=質の高いサービスを提供する事業者という証のひとつにもなります。
取得にあたって必要な、個別研修や定期的な会議の開催などにより、介護技術の向上や利用者情報の共有を行うことによってますます質の高いサービスを提供するための体制を作ることができます。
2019年10月から始まった特定処遇改善加算のなかでも加算率が高いⅠを算定できます。
訪問介護の特定処遇改善加算Ⅱは4.2%の加算率ですが、Ⅰになると6.3%の加算が受けられます。これによりさらなる処遇改善をすることができます。
特定事業所加算の取得によって、算定していない事業所と比較し高収益体制を築くことが可能になります。
そうして得た利益をしっかりと職員の給与にも反映させることで職員が長く働ける職場であるとともに、新しい職員の採用の際にも他の事業所と差別化を図ることができます。