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【訪問介護記録の電子化】スタッフの教育はどうする?メリット・デメリットも紹介

訪問介護の業務のなかで重要な作業である“訪問介護記録”。紙で行われている訪問介護記録は、いま電子化が進んでいます。

「電子化にしたいがどんなメリットがあるのだろう」「電子化したらスタッフの教育はどうすればいいのか」など、疑問や不安をもっている経営者やマネジメントの方は多いでしょう。

そこで今回は、訪問介護記録の電子化に関して、メリットや注意点、スタッフへの教育ポイントをご紹介します。

訪問介護記録の電子化について疑問や不安を解消し、導入への一歩を進めましょう。

訪問介護記録を電子化するメリット

訪問介護記録の電子化は、紙で記録し申し送りする方法とどのような違いがあるのでしょうか。

まずは訪問介護記録を電子化するメリットについてみていきます。

・直行直帰が可能

訪問介護においてのメリットの一つが、直行直帰が可能になることです。

ホームヘルパーが利用者の自宅でケアしながら、スマホやタブレットで記録を入力できるため、事務所に立ち寄る必要がなくなります。

次の訪問先の情報もクラウドで入手することができるため、移動にかかる時間が大幅に削減できます。

・事務作業の手間削減

次に、作成の手間および時間が削減できることです。

スマホやタブレットを使い、フォーマットに沿って入力し送信すれば記録が完了します。大量の紙を保存する必要がなくなるため、紙書類の整理整頓にかかる事務作業が削減されるだけでなく、用紙代も節約できます。

・転記が不要

電子化することで記録データはクラウド上に保存され、いつでも事務所のパソコンから閲覧できます。

そのため紙の場合と比べて転記するといった作業が不要となります。転記ミスがなくなるだけでなく、介護報酬請求システムにも直接利用できるので、集計や検索などの作業も楽になります。

電子化した記録はクラウドで連携も可能。どこでも必要な情報をすぐに入手でき、確認することが可能です。

・写真が活用できる

スマホやタブレットで撮影し、写真で共有・記録することが可能です。言葉では表しにくい状況を写真で確認でき、通院の必要性や健康管理に役立てることができます。

・スタッフ間のコミュニケーション活性化が図れる

スマホやタブレットで入力した記録は、即時にスタッフ全員で共有することも。さまざまな情報をお互いに発信・確認できることで、伝達ミスを防ぎ、スタッフ間のコミュニケーションの活性化へもつながります。

スムーズな引き継ぎは、利用者一人一人に沿った細やかなサービス提供の実現にもつながります。

電子化のデメリット・注意点

次にデメリットや注意すべき点を確認しておきましょう。

・導入コストがかかる

ICT化の実現には、インターネット環境の整備はもちろん、タブレットやスマホなどのデバイスの用意、システムの導入などのコストがかかります。

現在、介護向けにさまざまなサービスが出ているので、情報収集し、比較検討することが大切です。また行政の補助金等もうまく活用することでコストを抑えることも可能です。

・セキュリティ面の不安、誤操作によるリスク

個人情報を扱うため、情報漏えいなどセキュリティ面の対策は欠かせません。

誤操作によるデータ消失もリスクとなります。スマホやタブレットにはパスワードロックをかけ、セキュリティソフトを導入するなどのセキュリティ対策に加え、スタッフにも研修などでセキュリティへの意識を高めることが大切です。

・新しい方法への抵抗感

ただでさえ多忙で人手が足りないと感じているスタッフにとって、新しいデバイスの操作方法を覚えることがストレスになる恐れもあります。

なかには新しいシステムの導入に抵抗を感じる人もいるでしょう。いかにスタッフの理解を深めモチベーションを高めるかがポイントになります。

スタッフへの教育方法・そのポイント

訪問介護記録の電子化にあたっては、こうしたメリット・デメリットを認識した上で、スタッフの理解を深めることが大切です。最後に、スタッフの教育方法とポイントについてご紹介します。

・目的を共有する

スタッフの教育にあたっては、次のような段階を追って取り組むことがポイントです。

①目的の共有

②デバイスやシステムの使い方

③フォローアップ研修

なかでも一番大切なのが、目的の共有です。作業の強制はモチベーションを低下させやすいですが、必要性を感じ、やりがいをもって自発的に取り組むことは、モチベーションの向上につながります

「何のためにするのか」という目的・目標を、いかに共有するかが、その後のスムーズなシステム導入のポイントです。訪問介護記録の電子化によるメリット・デメリットを、スタッフにも十分に認識してもらい目的共有につなげましょう。

また、訪問介護記録の電子化は、単なる業務の効率化で終わりません。事務処理にかかる時間や労力が削減されることでスタッフの負担が減り、心身に余裕が生まれます。余裕はサービスの質を向上させ、利用者やそのご家族の笑顔につながります。

新しい取り組みが自分たちの負担を減らすだけでなく、結果として利用者やご家族の笑顔につながることを共有し、スタッフが率先して取り組める環境をつくることが重要です。

・できるところから取り組む

スタッフのなかには、タブレットやスマホの操作に慣れていない人もいます。そうした人には、まずスマホやタブレットの操作に慣れることから始めましょう。

そして、いきなり全てを電子化するのではなく、紙媒体とデジタルを併用する期間を設け、少しずつ便利さに気づいてもらうことが大切です。

この移行期間を設けることは、新しいシステムへの記入や操作方法に抵抗を感じるスタッフに有効です。

また、電子化が高齢スタッフのノウハウを共有・活用につながるよう、運用することが大切です。やりがいや充実感をもって働ける環境を整えるため、スタッフと共にそれぞれの職場にあったシステムを構築していきましょう。

・音声入力の利用

テキストの打ち込みにどうしても抵抗感がある人には、スマホやタブレットの音声入力機能を活用する方法もあります。

また、手書き入力モードなどデバイスも進化しているので、使いやすい方法を選択することが可能です。

特に音声入力は、両手がふさがっているときや利用者から目を離さずに使えるので、うまく利用することをオススメします。

・セキュリティ面の研修も忘れずに

スタッフ一人一人のセキュリティに対する意識を高めることも大切です。

個人情報の取り扱い、秘密保持義務やセキュリティに対する研修は、何も介護の現場だけでなく、現代社会で必要な知識です。強制ではなく自発的に学ぶ場となるよう努めましょう。

・導入後も定期的にフォローする体制を整える

実際に導入してみると、はじめて見えてくる課題や疑問点が出てくるでしょう。そうした疑問をいつでもサポートできる体制を整えておくと、スタッフも安心して働くことができます。

定期的にフォローアップ研修を行い、現場の混乱を防ぎ、業務効率化のスピードアップにつなげましょう。

まとめ

訪問介護記録の電子化についてメリットやデメリット、スタッフの教育ポイントをご紹介しました。

業務効率化や人手不足を解消する手段として、訪問介護記録の電子化は有用です。

まだ介護現場のICT化を進められていない事業所は、ICT化の第一歩として、訪問介護記録の電子化を検討してみてはいかがでしょうか。

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