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【後編】訪問介護事業所の設立でよくある失敗事例(モノ・カネ編)

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訪問介護事業所の開業は、参入障壁が比較的低い一方、「3年以内の廃業率が高い」とも言われており、「資格があるから」「想いがあるから」だけではなかなか立ち行かないのが現実です。

前回に続き、「合同会社織都」の本多雄一先生(行政書士)監修のもと、経営の3要素「ヒト・モノ・カネ」における失敗事例をまとめました。 前編では、そもそも設立で失敗してしまう要因と、「ヒト」に関する失敗事例についてご紹介しましたが、今回は、「モノ」と「カネ」に関して解説します。

前編はこちら

「モノ」における失敗と対策


事業運営において「モノ」の準備は不可欠ですが、単に揃えるだけでなく、基準の遵守とリスク管理が重要です。以下のポイントに注意しながら準備を進めるようにしましょう。

ポイント①:指定を受けられる物件かどうか

代表的な失敗例として挙げられるのが、「物件選び」です。
訪問介護事業所には、設備基準が定められています。物件が「住宅専用」で事業所として使用できなかったり、自宅開業において生活スペースを通らなければ相談室へ入室できなかったりなどで、指定を受けられないケースは意外とあります。

一般的な不動産業者が、介護保険の設備基準まで熟知しているとは限らないため、必要に応じて、介護保険制度に精通した専門家のアドバイスを受けましょう。

参考:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100037)

ポイント②:仕事用のスマホを用意できているか

業務におけるリスク管理も「モノ」に関わる重要な視点です。

例えば、介護保険の被保険者証の確認は必須ですが、原本を利用者から預かって事業所でコピーを取るという方法は、紛失や破損、返却忘れといったリスクがあります。 利用者宅でその場で撮影できれば、こうしたリスクは回避できますが、ヘルパーさんの私用携帯で被保険者証(個人情報)を取得することはできません。

そこで、仕事用のスマホをレンタルしてヘルパーに貸与するようにしましょう。
適切な情報管理はもちろん、日々の業務連絡を円滑にするためにも、今や仕事用スマホは必須の備品といえます。


ポイント③:介護ソフトの準備ができているか

介護ソフトの導入は、単なる事務作業の効率化だけが目的ではありません。
ヘルパーの研修や営業活動をするための時間を確保するために、不可欠なものです。

特に、訪問状況をリアルタイムで確実に把握できる「Care-wing(ケアウイング)」のようなシステムは、管理業務の大幅な時短に繋がります。 介護ソフトは「楽をするため」ではなく、適切なスタッフ管理や、自社の強みを磨き上げる時間を確保するために必要なツールなのです。


「カネ」における失敗と対策


介護事業において「資金」は、経営の成功を大きく左右します。
融資のハードルや入金サイクルなど、お金のルールを正しく理解した上で資金を準備しておきましょう。

ポイント①:融資の審査基準を理解しているか

制度上、「資本金1円」で会社は設立できますが、それでは融資審査に通ることは困難です。創業融資の審査基準として、自己資金比率は「総予算の50%程度」がひとつの目安となりますので、これを理解した上で、適切な資本金額を決めましょう。

また、指定申請の際には事業所の設備・備品を揃えておく必要があります。 物件の賃料や内装費はもちろん、PC、事務机、鍵付きの書庫といった備品から、介護ソフトの導入費用まで、必要な項目を網羅したリストを作成し、精度の高い予算計画を立てるようにしましょう。

ポイント②:十分な運転資金はあるか

開業後すぐは、利用者の確保に時間がかかる一方、介護報酬の入金には「サービス提供から約2か月後」といったタイムラグがあり、売上が立っても実際にお金が手元に入るまでにはかなりの時間がかかります。

しかし、当然ながらスタッフへの人件費や事業所の賃料、光熱費などの支払いは、売上の入金に関わらず毎月発生します。
この「入金と支払いのギャップ」による資金ショートを防ぐためにも、少なくとも開業後3か月分の運営経費を賄えるだけの資金を、あらかじめ用意しておきましょう。

ポイント③:法人口座開設の準備は万全か

会社を設立しても、法人口座が開設できなければ取引を開始できず、実質的には開業できないも同然です。特に昨今は、銀行の審査が非常に厳格化しているため、事前の準備が欠かせません。
審査では主に、以下のような点がチェックされます。銀行から「事業として信頼できる」と認められるために、重視するようにしてください。

  • 信用(反社性がないか、自己資金の出所を明確に説明できるか)
  • 事業の継続性(各種計画が明確にあるか)

ポイント④:創業支援制度を把握できているか

起業家を支援するために、創業時のコスト負担を軽減したり、融資を有利に進めたりするための仕組みがあります。
制度の詳細は都道府県や市町村によって異なりますが、主に以下のような優遇措置を受けることができます。

  • 登録免許税の軽減(会社設立時のコスト削減)
  • 融資の無担保・第三者保証人なしでの利用
  • 融資利息の優遇(低金利での借入)
  • 各種補助金の申請資格の取得

これらの優遇措置を受けるには一定の条件があるため、開業予定の自治体で要件を確認しておきましょう。

いずれの制度を利用する場合でも、重要なのは「事業計画」の精度です。自治体によっては「創業塾」などの名称で、事業計画の立て方を学べる講座を実施している場合もありますので、ぜひ活用してみてください。

まとめ

いかがでしたでしょうか?訪問介護の設立において、「物」と「お金」の失敗は事業の存続に直結する致命的な痛手となりかねません。 設備基準の遵守や緻密な資金計画など、表面上の手続きだけでは見えない「経営の土台」をいかに築けるかが、成功を左右します。

弊社の開業支援サービスでは、法人登記や指定申請などの直接的な開業支援はもちろん、本物件選定のアドバイスや融資を見据えた事業計画の策定など、実務に即した包括的なバックアップを行っています。

スムーズな立ち上げと安定経営のために、ぜひ本サービスをご活用ください。

前編はこちら



<監修> 本多 雄一
合同会社織都 代表社員 / 行政書士コンプライアンスハーツ 所長。関西大学卒業後、1999年に行政書士登録。
2000年の介護保険施行以来、長年にわたり介護事業所の人材育成や記録書類の整備に関わり、顧問先を通じて運営指導も経験。 2025年2月より介護事業コンサルに特化した合同会社織都の代表社員を務める。
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