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【訪問介護】年末年始の運営方針と来年度に向けて準備すべきこと


年末が近づくにつれ、訪問介護事業所の管理者の皆様は、年末年始の運営方針について頭を悩ませているのではないでしょうか?

「他の事業所はどのように対応しているのだろう」「限られた人員で、どう年末年始を乗り切ればよいのか」といった不安は、毎年この時期の共通の課題です。

本コラムでは、訪問介護事業所を対象に実施されたアンケート結果をもとに、年末年始の実態と効果的な運営方法、さらには来年度を見据えた準備についてご紹介します。


アンケートから見えた実態


訪問介護事業所を対象としたアンケート調査では、年末年始の運営において多くの事業所が共通の課題を抱えていることが明らかになりました。

特に注目すべきは、年末年始の業務調整と並行して、「来年度の事業計画の策定準備」や「ケアプランの見直し準備」を重要な業務として進めている事業所が多いという点です。 年末年始は単なる休暇期間ではなく、次年度への準備期間として戦略的に活用している事業所が増えているのです。この時期に計画的に業務を進めることで、年明けからスムーズに新年度の運営を開始できるという利点があります。

一方で、人手不足が深刻な事業所では、年末年始の人員確保に苦慮し、来年度の準備にまで手が回らないという声も聞かれます。




まず年末年始の運営としてやるべきこと




年末年始を安全かつ円滑に乗り切るためには、基本となる「守り」の対策をしっかりと固めることが重要です。

年末年始の業務分担の明確化

年末年始は通常とは異なる業務体制となるため、誰が何を担当するのか、役割分担を明確にしておくことが不可欠です。
具体的には、以下のような点を事前に決定し、スタッフ全員で共有しておきましょう。

  • 緊急時の連絡体制
  • 管理者、サービス提供責任者、各ヘルパーの連絡先と優先順位を明確にする
  • オンコール当番
  • 24時間対応が必要な利用者様がいる場合、当番制を組み、事前に伝達する
  • 訪問予定の確認
  • 年末年始に訪問が必要な利用者様のリストを作成し、担当ヘルパーを決定する

この際、業務分担を記録し、デジタルツールで共有することで、休暇中のスタッフも必要に応じて確認できる体制を整えることが推奨されます。

スタッフの休息を確保できるシフト作成の工夫

訪問介護の現場では、ヘルパー一人ひとりの健康と休息が、質の高いケアの提供に直結します。年末年始だからこそ、スタッフが適切に休息を取れるよう配慮が必要です。
効果的なシフト作成のポイントとして、以下が挙げられます。

  • 早めのシフト調整
  • 少なくとも1ヶ月前には、スタッフの希望休を確認し、シフトを組む
  • 連続勤務日数の制限
  • 年末年始でも、連続勤務は3日までとするなど、過度な負担を避ける
  • 公平性の確保
  • 特定のスタッフに負担が偏らないよう、前年の勤務状況も考慮する

ある事業所では、年末年始の出勤を希望するスタッフに「特別手当」を支給することで、公平性を保ちつつモチベーション維持を図っている事例もあります。

利用者やケアマネへの丁寧な説明と連携

年末年始の訪問スケジュール変更や緊急時の対応方法について、利用者様やケアマネジャーへ事前に丁寧に説明することが重要です。

利用者様への説明のポイント
  • 年末年始の訪問予定を、少なくとも2週間前までに書面で通知する
  • 緊急時の連絡先を明記し、利用者様の見えるところに掲示してもらう
  • 持病のある利用者様には、かかりつけ医の連絡先や休日診療の情報も提供する

ケアマネジャーとの連携
  • 年末年始の訪問体制について、事前に情報共有する
  • 緊急時の対応フローを確認し、役割分担を明確にする
  • 特に配慮が必要な利用者様について、情報を共有する

医療機関や関連施設の休業情報も含めて、包括的な連絡体制を構築しておくことで、利用者様とそのご家族の不安を軽減できます。


来年度を見据えて年末年始に進められそうな業務も




年末年始の対応(守り)を固めた上で、余裕があれば来年度を見据えた準備(攻め)にも取り組むことで、新年度のスタートダッシュが可能になります。

事業計画の見直し・策定準備

介護保険法では、訪問介護事業所は事業計画を策定し、適切な運営を行うことが求められています。
年度末に向けて、事業計画の見直しを進めることは、質の高いサービス提供の基盤となります。

  • 年末年始に進められる事業計画関連の業務
  • 今年度の目標達成状況の振り返りと評価
  • 来年度の目標設定と具体的な行動計画の草案作成
  • 収支予測の見直しと予算案の検討
  • スタッフ配置計画や研修計画の検討

実際に、年末年始の比較的静かな時期を活用して、管理者やサービス提供責任者が集まり、来年度の事業計画を議論する事業所も多く見られます
この時期は日常業務が少し落ち着くため、じっくりと戦略を練る好機となります。

ケアプラン見直し・更新準備

利用者様の状態は日々変化しており、定期的なケアプランの見直しは必須です。
年末年始は、ケアプランの更新準備を進めるのに適した時期です。

  • 年末年始に進められるケアプラン関連の業務
  • 更新時期が近い利用者様のリストアップ
  • 利用者様の状態変化や新たなニーズの把握
  • 多職種との連携状況の確認と調整
  • サービス内容の適正性の評価

ある事業所では、年末のうちに利用者様の状態評価シートを更新し、年明けにケアマネジャーとスムーズに連携できる準備を整えています。
これにより、1月から3月の繁忙期に効率的にケアプラン更新を進められています。

その他、来年度に向けた準備

事業計画やケアプラン以外にも、年末年始に準備しておくと有益な業務があります。

書類や記録の整理
  • 利用者様ごとのファイル整理と不要書類の廃棄
  • デジタル記録のバックアップ取得
  • 契約書類や同意書の有効期限確認

物品や備品の棚卸し
  • 消耗品の在庫確認と発注
  • 介護用品の点検と補充
  • 衛生用品の備蓄確認

スタッフ関連の準備
  • 新年度の研修計画の策定
  • 資格更新が必要なスタッフのリストアップ
  • 新規採用に向けた募集準備

これらの準備を年末のうちに進めておくことで、新年度を余裕を持ってスタートできます。

まとめ


年末年始の運営は、訪問介護事業所にとって毎年の大きな課題です。
しかし、適切な準備と計画があれば、利用者様の安全を守りながら、スタッフの負担も軽減できます。
基本となる「守り」の対策として、業務分担の明確化、適切なシフト作成、そして利用者様やケアマネジャーとの丁寧な連携が重要です。

さらに、余裕があれば「攻め」の準備として、来年度の事業計画策定やケアプランの見直し準備を進めることで、新年度のスムーズな運営が実現できます。 業務を円滑に進めるためには、デジタルツールの活用も効果的です。

弊社のサービス「Care-wing(ケアウイング)」は、訪問スケジュールの管理、スタッフ間の情報共有、利用者様の記録管理など、訪問介護事業所の日常業務を効率化するための機能を備えています。
年末年始のような特別な時期でも、リアルタイムで情報を共有でき、緊急時の対応もスムーズに行えます。

また、事業計画の策定やケアプランの見直しに必要なデータの整理・分析機能も搭載しており、年度末の準備作業を大幅に効率化できます。 ご興味をお持ちいただけましたら、お気軽にお問い合わせください。






<ライター>宮田 浩行
介護福祉士7年、看護師8年、計15年以上の医療福祉経験を持つ専門家。
介護老人保健施設、看護小規模多機能、訪問看護、有料老人ホームでの勤務を経て、現在は医療福祉分野のライターとして活動。 介護と看護の両資格を活かした現場目線の分かりやすい記事で、医療福祉従事者の課題解決と質の高いケアの実践に貢献。

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