• 公開日:

  • 更新日:

訪問介護ヘルパー必読!利用者が喜ぶ、栄養満点お手軽献立③(春編)

この記事をシェアする

利用者の食欲がないと気づいたときに、「どうすれば食べていただけるのか」と悩むことはないでしょうか。
利用者の食べる意欲を引き出すためには、食べやすさに配慮した献立づくりや、調理の工夫が欠かせません。

この記事では、高齢者が食欲不振になる原因やチェック方法、食べたい気持ちを呼び起こす食事の工夫について解説します。
あわせて、食欲が低下したときにおすすめの春メニューも紹介します。ぜひ調理支援に役立ててください。


高齢者が食欲不振になる原因


高齢者の食欲不振には、主に次のような原因があります。

  • 消化吸収に関わる器官の疾患
  • 薬の副作用
  • 咀嚼・嚥下機能の低下
  • 味覚や嗅覚の変化
  • 胃腸の機能低下
  • 活動量減少による必要エネルギー量の低下
  • ストレス、うつ

胃や腸、膵臓、肝臓などに疾患があると、消化吸収能力が低下して食べたものをうまく処理できなくなり、食欲が低下することがあります。 しかし、明確な疾患がなくても食欲が落ちるケースは少なくありません。

飲み込む力が弱まると、食べ物が喉に引っかかったりむせたりする不安から、食事が億劫になりがちです。
活動する機会が減ると、体がエネルギーを必要としなくなり、自然とお腹が空きにくくなることも。
また、味覚や嗅覚が弱くなり、おいしさを感じづらくなることも原因のひとつです。

このように、高齢者の食欲不振は心身のさまざまな変化が複雑に絡み合って起きています。

参考:国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター「高齢者の食欲低下について」
   厚生労働省「高齢者の低栄養予防」/第50回日本老年医学会学術集会記録「"食べない老人"への対応」


高齢者の食欲不振が続くとどうなる?


食欲不振が続いて長期的に食事量が減ると、低栄養状態に陥ります。エネルギーや栄養が不足して体重が減少するだけでなく、筋肉量が落ちることで歩行が困難になり、転倒による骨折などの大きなケガをまねきかねません。
さらに、感染症にかかりやすくなる、傷や褥瘡(床ずれ)が治りにくくなる、認知機能が低下するなどの変化が見られる場合もあります。

低栄養は、要介護状態の一歩手前である「フレイル」の大きな要因とされています。 利用者が自立した生活を送り続けるためには、食欲不振のサインにいち早く気付き、適切な支援につなげることが重要です。

参考:公益財団法人 長寿科学振興財団「高齢者の低栄養」

食欲不振を見逃さないためのチェックポイント


「なんとなく食欲が落ちているかも」と感じたときに、客観的な指標として役立つのが「CNAQ-J(日本語版食欲調査票)」です。 このツールでは、味覚や満腹感などに関する8つの質問に答えるだけで食欲を評価できます。




参考:要介護高齢者の口腔・栄養管理のガイドライン2017

食欲不振の兆候を見逃さず、的確な支援につなげるために、このようなツールも活用してみてください。



食欲を高める食事の工夫




利用者の食欲を高めるためには、「おいしそう、食べてみたい」という気持ちを引き出す工夫が必要です。
訪問介護の限られた時間のなかでも、料理の選び方や調理のひと手間、食事の環境作りによって、利用者の食事に対する意欲は変わります。

ここでは、献立・調理・環境という3つの視点から、利用者の食欲を高める方法を紹介します。

献立の工夫

食欲不振が気になるときは、以下の点に配慮して献立を考えてみましょう。

  • 利用者が好きな食材・料理を取り入れる
  • 喉ごしがよいもの、冷たくてさっぱりしたものを選ぶ
  • 脂質が多い料理は控える
  • 献立の味にメリハリをつける

お粥やうどん、そうめん、茶碗蒸し、豆腐などのやわらかくて喉ごしのよい食べ物は、噛む力や飲み込む力が弱まった方でも食べやすいでしょう。 どうしても食が進まないときは、プリンやヨーグルト、ゼリーなどを取り入れるのも方法のひとつです。

一方で、揚げ物や脂身が多い肉料理は胃にもたれやすく、避けたほうが安心です。
ただし、エネルギーを補う必要もあるため、和え物や汁物に少量の油を加えたり、間食を活用するなど、工夫するとよいでしょう。

また、味付けが単調だと食事に飽きやすくなります。箸が進みやすくなるように、一品だけ味を濃くしたり漬物を添えたりして、献立の味付けに変化を持たせましょう。

調理の工夫

食欲を高めるために調理で意識したいポイントは、次のとおりです。

  • 食べやすい形態に調整する
  • 香りや酸味を加える
  • 手でつまんで食べられるようにする
  • 少量ずつ盛り付ける
  • 彩りをよくする

まずは、利用者の噛む力や飲み込む力に合わせて、食材を刻む、加熱してやわらかくする、とろみをつけるなどの配慮が必要です。 さらに、しそやみょうが、しょうが、にんにく、ハーブなどで香りを加えると、食欲が刺激されやすくなります。
柑橘類やお酢、梅干し、トマトの酸味も食欲増進に効果的です。

食べる気力が低下すると、箸やスプーンを持つことさえ億劫になりがちです。 そのようなときは、小さなおにぎりや海苔巻き、サンドイッチなどの手でつまめる料理にすると、食事へのハードルが下がります。

「食べなければならない」というプレッシャーを和らげるために少量ずつ盛り付けたり、献立の彩りを豊かにしたりするのも良いでしょう。

環境の工夫

以下の点に配慮して、食事環境を整えてみましょう。

  • 食事の時間を楽しめる雰囲気を作る
  • 声掛けで食事に興味を持ってもらう

食卓にランチョンマットを敷いたり、季節の花を一輪添えたりするだけで、食卓が華やぎ、明るい雰囲気を演出できます。
利用者がお気に入りの音楽をかけるのもよいでしょう。

また、調理中や配膳時に「〇〇のいい香りがしますね」「今日は彩りがきれいですよ」などと声掛けして、食事の期待感を高めるのも効果的です。

訪問介護の調理支援におすすめの春メニュー


ここでは、利用者の食欲が落ちたときに提供したい3つのメニューを紹介します。
調理支援のヒントとして、ぜひ活用してください。

彩り手まり寿司




一口サイズに丸めた手まり寿司は、箸を持つのが億劫なときでも、手でつまんで気軽に食べられます。
思わず手に取りたくなる、ころんとしたかわいらしい形と、彩り豊かな見た目も魅力です。

ご飯を小さく丸めて作るため、見た目のボリューム以上にエネルギーを摂取できることもポイントです。
また、ご飯に含まれるエネルギーと、卵やえびに豊富なたんぱく質を一緒に摂取でき、食欲不振時でも効率よく栄養を補えます。

華やかな手まり寿司は、お花見や端午の節句、母の日といった春のイベントにもぴったりです。

かぶのそぼろ煮




かぶを鶏そぼろと一緒にだし汁で煮込み、煮汁にとろみをつけて仕上げた一品です。

春のかぶは実がやわらかく、消化にもよいため、食欲がないときでも無理なく食べられます。
また、煮汁にとろみをつけることで喉通りがなめらかになり、スムーズに飲み込めるようになります。

食欲不振のときは水分摂取量も減りがちですが、煮物は食材が水分を含むため、食事を通じて効率よく水分を補給できる点もメリットです。 特に、このメニューはだしを効かせてとろみをつけることで、煮汁までおいしく食べられて、水分補給に役立ちます。

さらに、かぶの葉には抗酸化作用が期待できるβ-カロテンが含まれています。 β-カロテンは体内でビタミンAに変換され、皮膚や粘膜の健康維持もサポートします。 無駄なく使って効率よく栄養を補いましょう。

菜の花とツナの梅肉和え




旬の味覚である菜の花をゆで、ツナと梅肉で和えた副菜です。

梅肉の酸味が、自然な食欲を呼び起こします。菜の花の鮮やかな緑色は食卓を明るくし、視覚からも「おいしそう」と意欲を刺激してくれるでしょう。 また、旬の食材を取り入れることは、食事に興味を持ってもらうきっかけになります。

油漬けのツナ缶は、食欲不振時に不足しがちなエネルギーとたんぱく質を補える便利な食材です。
さらに、ツナ缶や梅干しは保存が効くため、急に「今日は食欲がない」と相談を受けた場合でも柔軟に対応できます。

春の訪れを感じる一品で、利用者の「食べてみたい」という前向きな気持ちを引き出してみましょう。

まとめ


高齢者の食欲不振に寄り添うためには、献立や調理、食事環境への細やかな工夫が欠かせません。
旬の食材を取り入れた彩り豊かな一皿や、喉通りのよさへの配慮は、利用者の「食べたい」という意欲を呼び起こすきっかけとなります。 日々の食事を通じて、食べる喜びと健やかな暮らしを支えていきましょう。

利用者の食欲や体調の変化を把握し、チームで共有するために役立つのが介護ソフトです。
介護ソフトを活用して喫食状況を記録・共有することで、一人ひとりの状態に合わせた最適な支援が可能になります。

利用者の食べる意欲と健康をチームで支えるために、介護ソフトの導入を検討してみてください。




【ライター】いしもとめぐみ
管理栄養士ライターとして、栄養・健康分野の記事を中心に執筆。
病院、保育園、食品メーカーでの勤務経験を活かし、専門的な内容をわかりやすく伝える記事づくりを心がけている。
この記事をシェアする

Care-wingで
介護をもっとスマートに!

まずは一度、お気軽にお問い合わせください!

0120-11-6219

受付時間:平日10:00〜18:00