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【ICT導入の手引き】導入の手順とポイントについて

急速に進み続けている少子高齢化の影響で労働人口は減少する一方、介護を必要とする人は増え続け、慢性的な人材不足が問題となっている介護業界。

厚生労働省は少ない労働人口でも介護サービスを提供できるような地域包括システムの構築を目指すべく、居宅サービス事業者を含む介護現場でICTの導入を推進しています。

しかし、ICTを導入するにあたり、どのように進めればよいのかわからないという事業者もいるでしょう。さらに、ICT機器やソフトウェアの種類はたくさんあるため、選ぶ時間や手間も取られてしまってスムーズにICT化できないことが現状です。

今回は居宅サービス事業者がICTを導入する参考になるよう手引きをまとめました。

ICT導入を導入する際の手順とポイント

スムーズなICTの導入を目指すなら手順と、ポイントをおさえて進めることがおすすめです。順番に確認していきましょう。

1.導入計画を立てる

むやみやたらにICTを導入するのではなく、まずはICT導入計画を立てることが重要です。もし活用する業務を誤れば、関係者にとって大きな負担になるかもしれないからです。

導入計画を立てる際は「どの事業所に導入するのか」「どのようなプロセスで導入するか」の2点を軸に考えましょう。

事業所で初めてICTを導入する場合、業務フローが大きく変わることが予想されます。そのため、複数の事業所がある場合は、モデルとなる事業所を決めて段階的に導入していく方が混乱を抑えられます。

また、導入計画を立ててから本格的に導入するまでは、事業所の規模にもよりますが半年から1年ほどの期間がかかる場合もあります。ICTの導入は時間がかかるものだということを前提にして慎重に導入を進めることが大切です。

2.業務フローの見直し

導入計画を立てたら、ICT機器やソフトの選定を進めつつ、事業所の業務フローを見直しましょう。ICTの導入により、スタッフや利用者にどのような影響が出るのかを事前に整理しておけば、本格的に導入する際の説明もスムーズに進めることができます。

現場で働くスタッフの意見も尊重しながら、業務フローの見直しを進めましょう。

3.導入の実施体制

どの業務にICTを取り入れるかを決定したあとは、実施体制を考慮します。実施体制とは「誰がどの業務を担うのか」「どこでICTを取り入れるのか」など、導入後の体制を指します。

もし、ICTの知識があるスタッフが事業所内にいれば、そのスタッフを中心に導入の実施体制づくりを進めることをおすすめします。

実施体制を整えることは、スタッフの戸惑いを最小限に抑える効果があるため、スムーズなICT化に期待ができます。

4.関係者への説明

導入ができる段階に進んだら関係者への説明をおこないます。関係者とは事業所で働くスタッフだけではなく、利用者や関わっている他の事業所の方も対象です。

ICT導入の目的は、より良い介護サービスを提供するため。しかし、説明を怠ると、いざ導入したときに反発を受けることも懸念されます。

目的を認識してもらうために導入する目的や導入スケジュール、導入体制について説明します。この段階では関係者の方に安心してもらうことを目指しましょう。

5.スタッフへの研修

スタッフへの研修も必要なステップです。スタッフのなかには、ICT機器に触れたことがない方がいるかもしれません。そのような方でも不安なく業務で活用できるよう、研修は複数回おこなうことをおすすめします。

本格的に導入したあとも、定期的に研修をおこなうことで、介護現場での定着度もより高まるでしょう。定着度が高まることで、ICT導入の効果がより得られるようになります。

6.導入効果の検証

ICTの導入は、導入することがゴールではありません。ICTを活用することで目的が果たせたかどうかを検証し、もし達成できていない場合は改善していく必要があります。

そのためには、PDCAサイクルの考え方が必要です。計画、確認、実施、検証の4つのサイクルを繰り返し、より良い介護サービスの提供につなげましょう。

導入するICT機器・ソフトの選び方

ここでは、導入するICT機器やソフトの選び方についてご紹介します。

ICT機器・ソフトの機能

ICT機器やソフトの機能は多種多様であり、事業所によっても最適なICT機器やソフトは異なります。

機器や機能ごとにメリット、デメリットが存在するので複数のICT機器やソフトを比較、検討するようにしましょう。複数のものを見分けることで、それぞれのメリットやデメリットがよりわかるようになります。

まずは事業所に必要な機能を選定し、その機能を網羅しているICT機器やソフトを選ぶことが大切です。

もし、どの機能が必要かわからないという場合は、ICTの知識を持った専門家に相談することをおすすめします。中小機構のIT経営簡易診断に依頼すれば、無料で相談に乗ってもらうこともできます。ICTの導入が不安な方は活用してみてください。

ICT機器・ソフトの導入効果

ICT機器やソフトに搭載された機能のなかには、業務で必要のない機能もあるかもしれません。多くの機能が搭載されていたとしても、使いこなせるスタッフがいなければ、ICTを導入してもなかなか効果がみえづらいでしょう。

ICTは機能の多様性をみるのではなく、どの業務で活用するのか、どのような効果を求めているかなど、導入の目的をふまえながらICT機器やソフトを選定することがポイントです。

ICT機器・ソフトの価格体系

ICT機器やソフトの価格体系はそれぞれ異なり、月額料金の場合もあれば、数年分をまとめて払う場合もあります。導入を決める前に価格体系についても確認しておきましょう。

ICT機器やソフトは安いものではありません。事業所の売上と見比べながら、無理のない範囲で支払えるものを選ぶことが大切です。

もし金額面で不安がある場合、国のIT導入補助金を活用するという手段もあります。国もICTの導入を推進しているので、積極的に活用しましょう。

ICT機器・ソフトのメンテナンス

ICT機器やソフトは、購入して終わりではありません。毎日の業務で使うものになるので、修理やメンテナンスが必要になることもあります。そのため、メンテナンスの費用や保証期間についても確認しておくと、トラブルがあった際に安心です。

また、ICT機器やソフトは年々アップデートされていくものです。データの引き継ぎが容易なソフトを使用していれば、買い替えの際もスムーズに引き継ぎをおこなうことが可能。

現状の使いやすさだけで選ぶのではなく、将来的なことも考えて選択することができれば、長い間使い続けることができるでしょう。

ICTの導入でより良い介護サービスにつなげよう

ICTを導入する際には、さまざまなことに注意する必要があります。特に導入前の準備がしっかりできているかどうかが、スムーズに導入できるかどうかを決める鍵です。

ICTの導入は決して焦らず、万全な準備を整えてからおこなうようにしましょう。

そして、ICT機器やソフトを選ぶ際は、機能だけを重視して選ばないように注意してください。どんなに素晴らしいものを導入したとしても、使いこなせなければ導入した意味がありません。関係者にとって負担になる場合もあります。

ICTは導入することが目的ではなく、スタッフの業務の効率化や利用者の満足度向上が目的です。大切なのは、機能の使いやすさ。スタッフの意見も取り入れながら、ICTの導入を進めていきましょう。

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