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忙しい訪問介護事業所向け 押さえておきたい法定研修について
介護の支援は、利用者の特性に合わせる必要があるため、それぞれの支援に関する知識や技術が求められます。
また、利用者の安心と安全を守る視点も必要であり、これらの知識、技術の習得には継続的な研修が欠かせません。
そのため介護事業所の運営には、必ず行わなくてはならない法定研修が定められており、未実施は原則許されず、最悪の場合は指定取り消しになるおそれもあります。
今回は、介護事業所が必ず実施しなくてはならない法定研修についてと、忙しい中で研修を効果的に進めるための方法について解説します。
目次
法定研修の重要性
介護事業所が必ず実施しなくてはならないと定めた研修や、厚生労働省の告示や通知で実施することを求められている研修のことを「法定研修」といいます。 この法定研修が未実施の場合は、運営指導において指導の対象となるだけでなく、最悪の場合は介護報酬の返還や、事業の指定取り消しもあり得ます。
法定研修を実施することは、義務を守るだけでなく、職員にとって働きやすい職場をつくる、利用者に質の高いサービスを提供できるようスキルの底上げを図るなど介護事業所自体の質を高めることにもつながります。
「義務だからとりあえずこなす」ではなく、義務である以上、しっかりと効果のある研修を実施するよう努めることは事業者の責務といってよいでしょう。
必ず実施しなくてはならない!主な法定研修の一覧
介護事業所が実施しなくてはならない法定研修を以下にまとめました。
今回はこの中から、厳選して5つをご紹介します。
- 認知症、認知症ケアに関する研修
- プライバシー保護に関する研修
- 倫理・法令遵守に関する研修
- 高齢者虐待防止、関連法含む虐待防止に関する研修
- 非常災害時の対応に関する研修
- 事故発生・予防・再発防止に関する研修
- 緊急時の対応に関する研修
- 感染症及び食中毒の発生の予防及び蔓延の防止に関する研修
- 身体拘束の排除の取り組みに関する研修
- 介護予防及び要介護の通行予防に関する研修
- 医療に関する研修
- ターミナルケア(終末医療)に関する研修
- 接遇に関する研修
- 精神的ケアに関する研修
認知症、認知症ケアに関する研修
認知症や認知症ケアに関する研修は、2024年4月に、介護保険施設・事業所で働く、医療・福祉系の資格(介護福祉士、看護師など)を持たない全職員に対して、入職後1年以内に「認知症介護基礎研修」の受講が義務付けられました。その他にも認知症ケアの質を高め、利用者の主体性を守るケアや医療との連携を実践できる職員を育成することが求められています。
倫理・法令遵守に関する研修
各サービスの運営基準に当該研修を定期的に実施することが義務付けられています。倫理、法令遵守とは「介護の仕事に携わる者が守る必要のあるルール、法律、モラル」などを指し内容は多岐に渡ります。
高齢者虐待防止、関連法含む虐待防止に関する研修
介護保険法や高齢者虐待防止法に基づいて、すべての介護事業所で研修の定期的な実施が義務付けられています。特に介護事業は高齢者や障がい者に対しサービスを提供する仕事ですので、虐待をしないための研修だけではなく、虐待が疑われる際の対応についても学ぶ必要があります。
事故の発生・予防・再発防止に関する研修
こちらも、運営基準での研修の実施が義務付けられています。利用者の安全確保や職員の安全のために必要な措置を講じることは事業者の安全配慮義務であり、事故予防の観点、発生時の被害拡大阻止、確実な再発防止策は定期的な研修と訓練によってはじめて身につくものです。身体拘束の排除の取り組みに関する研修
介護保険法の基準に義務付けられた研修です。現在介護事業所において身体拘束は原則禁止されており、違反すると報酬の減算などのペナルティーも設けられています。身体拘束に該当する行為や、身体拘束をせざるを得ない状況の理解など、現場で働く職員全員が正しく理解しておく必要があります。
法定研修ではないが、実施が望ましい研修
以下に紹介するのは、現状では必須の研修ではありませんが、積極的に実施することが望ましい研修の一例です。
ハラスメント研修
2026年10月から全事業者を対象に義務化される「ハラスメント対策」ですが、現時点での研修の義務は設けられていません。あくまでも事業者に対してハラスメント対策を講じることが義務付けられています。
しかし、ハラスメント対策には事業者だけでなく現場の職員の対応方法も大きく関係しますので、対策の一環で全職員を対象に研修を実施することは合理的といえます。
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マネジメント研修
マネジメントは基本的に管理者層が担うことの多い業務ではありますが、介護業界ではマネジメントに触れないまま管理者になりマネジメントに苦戦するケースがしばしば見られます。現場職員の頃からマネジメントの考えに触れておくことはチームケアの底上げにもつながりますし、キャリアアップのきっかけにつながることが期待できます。
ボディメカニクス研修
介護に関する知識の習熟を目指す研修は法定研修にも多いのですが、介護技術に関係する研修は義務付けられてはいません。しかし介護技術、特にボディメカニクスを活かした介護の実践は腰痛予防にも大きく貢献します。
介護職員等処遇改善加算の算定要件である職場環境改善の「腰痛予防」に資する内容として、職員の腰痛を予防するための介護技術研修としてボディメカニクスを学ぶのは合理的といえるでしょう。
忙しい現場でも研修を継続させるために必要なこと
介護事業所が行わなくてはならない必須の法定研修はかなりの数がありますが、やるべき研修を確実に実施していくためにはしっかりと年間計画を立てていくことが、何よりも重要です。
また研修の年間計画や個別計画の作成は先述の処遇改善加算や特定事業所加算の算定要件にもなっていますので、加算を算定している事業所は取り組んでいることでしょう。
忙しい現場でも研修を継続するための方法をいくつか紹介します。
なぜ研修が必要かを明確にする
「なぜ研修を実施しなくてはいけないか」を全職員が知っている事業所は、実は非常に少ないです。 仮に知っていたとしても「やらなくちゃいけないから」という理解であるケースが多いです。これでは研修に意欲的になることは期待できません。事業者は、研修は義務であることを伝えるのは当然として、研修を実施することでどんな職員になってもらいたいか、利用者にどんなケアを提供できるようになりたいか、どんな評価を受ける事業所を目指したいかなどの研修を通したビジョンを明確に示すべきです。
「研修をやる意味」が「規定だから」ではなく「自分たちの仕事の質のため」とイメージできれば、意欲的に研修に臨むようになることが期待できるでしょう。
外部研修に参加する
研修の多くは事業所内で担当を割り振って実践している事業所が多いのではないでしょうか。自分たちで調べ、自分たちで伝達し合う体制は非常に効果的といえるのですが、適当にどこかから印刷した資料をただ読み合って終わるという研修風景もたびたび目にしてきました。これでは意味がありません。
新たな刺激として、外部研修を活用することは研修への前向きな姿勢づくりに役立つかもしれません。
そのためには勤務の調整が必要になってきますが、定期的に外部研修への参加を促していくことは職員の成長を促す効果も期待できるでしょう。
また、外部研修に参加した職員は他の職員向けて「伝達講習」を実施することが望ましいです。人は教わることそのものより、教わったものを他者に伝えようとする際に強く記憶の定着が起こります。
ただ研修を受けて終わらないためにも、伝達講習を実施していくことで職員に広く情報共有を図るほか、研修に参加した職員のより一層のレベルアップを図っていきましょう。
研修サービスの活用
現在、法定研修を自事業所でこなすのが難しい場合等を対象としたオンラインで研修を受けることができる動画サービスが数多く登場しています。ポイントをまとめたプロの研修動画なら、積極的に学ぶ意欲にもつながることが期待できますし、会議の場ではなく自宅でもどこでも視聴できるため、忙しい勤務の合間に研修を実施することが可能となるでしょう。
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まとめ
介護事業所が実施すべき法定研修は非常に数が多く、確実に実施していくためには計画をしっかり立てた上で「この研修で職員に何を期待しているか」という事業所の方針をしっかりと伝えていくことが大切です。
ただ知識や技術を詰め込もうとする、研修をこなそうとする、のではなく研修の目的と目標を掲げて実施していく習慣づくりを進めていきましょう。
弊社の「Care-wing(ケアウイング)」では、日々の記録業務を効率化し、スムーズな情報連携を実現することで、研修に充てる時間を生み出すことができます。
また、介護研修を活用すれば、法定研修から事業所独自の教育まで、網羅的にカバーできます。
導入による業務効率化の事例にご興味のある方は、ぜひ以下よりお問い合わせください。
<ライター> 寺田 英史
20年以上の介護業界経験を持つ介護の専門家。短期入所、訪問介護を経て、現在は介護保険外サービスも運営。
初任者研修、実務者研修の講師も務める。現場目線の分かりやすい記事で、介護職や介護現場の課題解決に貢献。
20年以上の介護業界経験を持つ介護の専門家。短期入所、訪問介護を経て、現在は介護保険外サービスも運営。
初任者研修、実務者研修の講師も務める。現場目線の分かりやすい記事で、介護職や介護現場の課題解決に貢献。
