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【前編:事例と統計で確認】今すぐ進めるべき、人材定着に繋がるハラスメントの基本知識
現在人材不足にお悩みの介護事業所も多いかと思います。中には職員がすぐ辞めてしまうなんて声も聞きます。
ではなぜ人が定着しないのか?
本コラムでは人材定着に役立つ、シリーズで職場環境の改善に役立つテーマを取り上げ、皆さんの事業所運営にお役立ていただきたいと思っております。
今回は全2回に渡り、増加傾向にあり、職員の定着にも影響があるため、年々問題視されている「ハラスメント」について、ハラスメントの基本から傾向と対策について、統計や事例を交えながらご説明します。
前編ではハラスメントの基本とハラスメント対策として必要な措置についてご説明します。
既に事業所内にハラスメントを原因に離職・転職を検討されている方もいるかもしれません。
人材流出を食い止め、職員の方々が働きやすい環境をつくるためにも確認していきましょう。
ハラスメントとは
ハラスメントとは辞書には「弱い立場の相手に嫌がらせをする行為」と記載があります。
また厚生労働省のハラスメント対策指針では、職場ハラスメントを「職場における労働者の就業環境を害する言動に起因する問題」と説明しています。
ハラスメントの種類について
近年「〇〇ハラ」など、さまざまなハラスメントについて耳にすることが増えたかと思います。まずは介護に関わらず、近年問題視されているハラスメントについて確認してみましょう。
- パワハラ(パワーハラスメント) 職場の上下関係などの優越的な関係を利用した嫌がらせのことを指します。
- セクハラ(セクシュアルハラスメント) セクハラとは、身体的な接触や言葉による性的な嫌がらせを指します。
- モラハラ(モラルハラスメント) モラハラとは、倫理・道徳に反する言葉や態度等による精神的な嫌がらせを指します。
- カスハラ(カスタマーハラスメント) 顧客等からの不当な要求や過度なクレーム・不当な言いがかり、暴言や威圧など従業員に対して精神的苦痛や不快感を与える行為のことを指します。
主に立場の高い人が立場の低い人に対し、業務上必要のない(または行き過ぎた)言動を行い、それにより相手を傷つけ、従業員の就業環境を損なう行為のことを指しますが、 例えば、異動してきたばかりで、部門のルールや状況についての情報が少ない上司への攻撃など、立場の上の人だけでなく、下から上への嫌がらせについてもパワハラに該当します。
職場での場合、指導のつもりでしていたことがパワハラだと認められることもあるので、認識を間違えないよう注意しましょう。
主に性的な言動に対して相手が拒否や抵抗したことにより解雇、降格、減給される、労働契約の更新が拒否される、昇進・昇格の対象から除外される、客観的に見て不利益な配置転換をされるなどの不利益を受けることをいいます。
また、性的な言動により相手を傷つけるだけでなく、就業環境が不快なものとなり、労働者の能力発揮に重大な悪影響が生じるなど、就業する上で見過ごせない程度の支障が生じることをいいます。
相手を無視したり、暴言や嫌味、相手の人格や尊厳を否定するような言葉を吐いたり、相手を馬鹿にしたり精神的苦痛を与えることを指します。(物理的な暴力行為は含まない)
当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるものを指します。
クレームとカスタマーハラスメントの違いは「悪意があるかどうか」で判断されることが一般的です。
労務SEARCH(https://romsearch.officestation.jp/jinjiroumu/syokuba/4688)
介護現場におけるハラスメント
厚労省のハラスメント研修の資料では介護現場におけるハラスメントを以下のように分けて考えています。
1 身体的暴力
身体的な力を使って危害を及ぼす行為。
例:コップをなげつける/蹴られる/唾を吐く
2 精神的暴力
個人の尊厳や人格を言葉や態度によって傷つけたり、おとしめたりする行為。
例:大声を発する/怒鳴る/特定の職員にいやがらせをする/「この程度できて当然」と理不尽なサービスを要求する
3 セクシュアルハラスメント
意に添わない性的誘いかけ、好意的態度の要求等、性的ないやがらせ行為。
例:必要もなく手や腕を触る/抱きしめる/入浴介助中、あからさまに性的な話をする
身体的な力を使って危害を及ぼす行為。
例:コップをなげつける/蹴られる/唾を吐く
2 精神的暴力
個人の尊厳や人格を言葉や態度によって傷つけたり、おとしめたりする行為。
例:大声を発する/怒鳴る/特定の職員にいやがらせをする/「この程度できて当然」と理不尽なサービスを要求する
3 セクシュアルハラスメント
意に添わない性的誘いかけ、好意的態度の要求等、性的ないやがらせ行為。
例:必要もなく手や腕を触る/抱きしめる/入浴介助中、あからさまに性的な話をする
カスハラとは分けて考えるべきこと
✅認知症等の病気または障害の症状として現れた言動(BPSD等)
➔医療的なケアによってアプローチする必要
✅利用料金の滞納 / 苦情の申し立て
➔ハラスメントではなく「別の問題」として対応する必要
(例:滞納は債務不履行の問題として対応する必要があります)
参照・引用:厚労省 介護現場におけるハラスメント対策マニュアル➔医療的なケアによってアプローチする必要
✅利用料金の滞納 / 苦情の申し立て
➔ハラスメントではなく「別の問題」として対応する必要
(例:滞納は債務不履行の問題として対応する必要があります)
運営指導にも影響するハラスメント対策
地域包括ケアシステムを推進していくうえで、介護人材の確保は大変重要な課題であります。
その課題を踏まえ、介護職員が安心して働くことができるよう、ハラスメント対策を含む職場環境・労働環境の改善を図っていくことを目的として、 令和3年度介護報酬改定で、パワーハラスメント及びセクシャルハラスメントなどのハラスメント対策として、ハラスメント対策として必要な措置を講ずることが義務づけられました。
介護サービス事業者の適切なハラスメント対策を強化する観点から、全ての介護従事者に男女雇用機会均等法等におけるハラスメント対策に関する事業者の責務を踏まえつつ、必要な措置を講ずる必要があります。
そのため、現在はカスタマーハラスメントについても、その防止のための方針の明確化等の必要な措置を講じることが推奨されています。
また運営指導においても、ハラスメント対策が不十分であることで指摘される事例が出ています。 昔作ったマニュアルのままで、パワハラやカスハラの記載が漏れていることもあるので、マニュアルは定期的に見直しや更新をすることも必要かもしれません。
法令上事業者に求められる措置
■講ずべき措置
<対象>
●職場における
・セクシュアルハラスメント
・パワーハラスメント など
●利用者やその家族等から受ける
・セクシュアルハラスメント など
<内容>
就業環境が害されることを防止するための方針の明確化等の必要な措置を講じること。
●職場における
・セクシュアルハラスメント
・パワーハラスメント など
●利用者やその家族等から受ける
・セクシュアルハラスメント など
<内容>
就業環境が害されることを防止するための方針の明確化等の必要な措置を講じること。
※特に注意すべき点※
①ハラスメントの内容と、ハラスメントを行ってはならない旨など事業主の方浸透の明確化し、従業者に周知・啓発する
⇒(例)ハラスメント防止に向けて、事業者の指針を作成し、 その内容を従業者に周知している。
②相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
⇒従業者からの相談・苦情に対応する担当者を定めておくなど、相談窓口を定め、従業者に周知すること
①ハラスメントの内容と、ハラスメントを行ってはならない旨など事業主の方浸透の明確化し、従業者に周知・啓発する
⇒(例)ハラスメント防止に向けて、事業者の指針を作成し、 その内容を従業者に周知している。
②相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
⇒従業者からの相談・苦情に対応する担当者を定めておくなど、相談窓口を定め、従業者に周知すること
■講じることが望ましい措置
<対象>
●利用者やその家族等から受ける
・顧客等からの著しい迷惑行為=カスタマーハラスメント
<内容>
①及び②の必要な措置を講じるにあたっては、カスタマーハラスメント防止のための方針の明確化等措置を講じることを推奨。
⇒・相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備 ・被害者への配慮のための取組
(例:メンタルヘルス相談、ハラスメント加害者に対し1人で対応させない配慮)
・被害防止のための取組
(例:マニュアルの作成、研修の実施)
参照・引用:厚労省 介護現場におけるハラスメント対策(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05120.html)●利用者やその家族等から受ける
・顧客等からの著しい迷惑行為=カスタマーハラスメント
<内容>
①及び②の必要な措置を講じるにあたっては、カスタマーハラスメント防止のための方針の明確化等措置を講じることを推奨。
⇒・相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備 ・被害者への配慮のための取組
(例:メンタルヘルス相談、ハラスメント加害者に対し1人で対応させない配慮)
・被害防止のための取組
(例:マニュアルの作成、研修の実施)
令和4年度三戸町集団指導 運営指導について
運営指導対策は職場環境の見直しのチャンス
利用者や家族からのハラスメントは、ヘルパーの負担だけでなく、サービスを行えなくなるなど、事業所だけでは対応しきれないこともあるかと思います。 まずはハラスメントが発生した際に、事象所でどのような措置をとるか方向性を検討してみましょう。また事業所内の実態を改めて確認することも、職員に寄り添った対応をとるためにも必要でしょう。
他にも、過去にマニュアルを作成したことのある場合も、最新の状況に内容が適しているか定期的に確認することで、運営指導で指摘されるリスクを軽減できます。 小さいことから見直しを始めてみましょう。
次回の後編では統計を確認しながら、ハラスメントの事例や取り組みの事例をご説明します。