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スタッフの業務管理をシステムで行うメリットとは?

介護ケアを提供するスタッフが行う業務管理をシステム化するとどのようなメリットを得られるかご存知ですか?

今回は、スタッフの業務管理をシステム化することで得られるメリットとシステム化における課題をご紹介します。

システム化が推進されている背景

少子高齢化が進む日本で、需要が高まっている介護業界ですが、現在の介護業界には課題も多くあります。

なかでも、一番の課題といわれているのが人手不足です。『平成29年度介護労働実態調査』によると、介護業界で働く人は増加傾向にあるものの、業界全体の約65%が人手不足を感じており、訪問介護に至っては約80%にも上るという調査結果が出ています。

介護業界が人手不足に陥っている原因のひとつは膨大な業務量があるといえるでしょう。

介護スタッフには介護ケアサービスの提供以外にも、煩雑な事務作業に時間を取られることで一人ひとりのタスクが増え、残業を強いられている現場が多くあります。

介護スタッフとして働く人は増加傾向にあるにもかかわらず、要介護認定者も増加しているため、事務作業の数も増え、常に人手不足の状態になっているのです。

そのため、介護業界の労働環境の改善は早急に解決をしなければなりません。厚生労働省も業務の効率化を図るべく、介護業界においてシステム化の導入を推進しています。

システム化により得られるメリット

介護業界には、日々の勤務管理や利用者の情報など、管理しなければならない情報が多くありますが、現在の介護業界は紙ベースで業務管理を行っているケースがほとんどです。

しかし、膨大なスタッフの情報管理を紙ベースからシステム化に移行することによって、スタッフには大きなメリットが生まれます。メリットをみていきましょう。

業務の効率化

多くの事業所では、利用者一人ひとりの介護記録を手書きで作成し、それをスタッフ同士で共有しています。記録は一枚の紙でしか閲覧することができないため、別のスタッフへの引き継ぎにも手間がかかってしまうことが現状です。

スタッフの業務管理をシステム化することにより、訪問先での利用者の記録入力や次の訪問先の確認をすることができるようになります。

事業所に戻る必要がないので移動時間の削減にもつながり、これまで大量に持ち歩いていた書類も端末一台で済ませることができます。さらに、すき間時間で介護の記録を入力することも可能なため、従来よりも事務作業の時間を減らすことが可能です。

今まで事務作業にかけていた時間を別の業務に割けることで、現場での経験が少ない若手への教育に力を入れることも実現できるでしょう。

人材不足といわれている介護業界において、若手の教育は最大の課題でもあるため、これからの未来を担う若手を育てる環境づくりにも効果が期待できるといえます。

密な情報共有

介護業界はコミュニケーションが大切です。

しかし、紙ベースで多くのご利用様の情報が記録されている場合、確認したい記録を探したり、外出先で情報の確認したりすることが困難となります。

業務管理をシステム化することで、いつでもどこでも情報を確認することができるため、手間も時間も省けます。

さらに、介護は利用者とスタッフだけの関係性ではなく、ケアマネや地域の医療機関、ご家族様などとの連携も必要な業界。これまでは電話やメールでのやり取りが中心でしたが、タイムラグが生じてしまうことが現状でした。

システム化して地域の関連事業所などと連携を強固にすると、お互いにタイムリーな情報を受け取ることができるため、利用者にとっても安心な介護サービスを提供できるようになります。

スタッフと利用者の満足度向上

介護業界で勤めているスタッフのやりがいのほとんどは、利用者とのコミュニケーション。しかし、書類作成などの事務作業に時間を取られると、本来の業務である介護に対して時間が圧迫されてしまうことが現状です。

システム化は事務作業にかかる時間を削減することにつながり、利用者に向き合う時間が増えるためスタッフのモチベーションにもつながります。

事務作業の時間が減ることでスタッフには心の余裕も生まれるため、より利用者に対して真摯に向き合うことができるでしょう。

さらに、利用者の急なキャンセルやご依頼にもすぐにスタッフ同士で共有することが可能なため、利用者のニーズに迅速に対応することができます。

スピーディーで丁寧な対応で信頼関係が向上し、ひいては利用者の満足度向上にもつながることが期待できます。

システム化の導入における課題

システム化のメリットを紹介しましたが、システム化の導入には課題もあります。メリットばかりに注目するのではなく、課題についても理解しておくことが大切です。

それではシステム化の導入における課題をみていきましょう。

IT機器への不安

システム化に対して最も課題になるのがIT機器への不安です。「自分たちのITリテラシーで使いこなせるか」と、不安で導入が実現できていない事業者も多いのではないでしょうか。

システム化して業務の効率化を図ろうと思っても、使いこなせるまでに時間がかかってしまったら、より業務に負担がかかってしまいます。

介護スタッフを育てる介護福祉系の学校でも、ICT教育の体制は万全とはいえません。そのため、システム化に対して抵抗感がある人もスタッフの中にはいるでしょう。

導入の前にスタッフ全員でシステム化について話し合い、導入することで得られるメリットについて理解を深めることが大切です。

コストがかかる

システム化を導入する場合は、必要機器を購入するだけではなくインターネット環境も整えなければなりません。

初期費用がかかるだけではなく、年間維持費や保守点検費用などのランニングコストもかかります。特に初期費用は大きな出費となる場合もあるので、導入のタイミングは迷うところでしょう。

しかし、介護記録や給与明細を紙ベースで管理する方法は、消耗品のコストも膨大にかかっています。

システム化には初期投資は必要ですが、長い目でみると紙ベースでかかっている現在の経費よりもコストを下げることが期待できます。また、近年ではシステム化に対しての補助金制度もあるので、コストをおさえながら導入することも可能です。

セキュリティリスク

システムによっては、アプリを入れれば利用者の個人情報やサービス履歴が個人用の携帯電話から閲覧できるものもあります。

このように、利用者の情報は全てシステムに反映されるため、守るべき情報が流出しないかセキュリティ面に不安を感じることもシステム化の懸念ポイントです。

システムを導入する際は、社用のスマホやタブレットを支給したり、セキュリティ対策が万全であるシステムを選んだりなど、セキュリティを重要視して介護ソフトを選びましょう。

システム化で介護の未来を明るく

スタッフの業務管理をシステム化することで多くのメリットが得られるものの、導入には解消するべき課題もあります。メリットだけに注目するのではなく、課題もしっかり把握したうえで導入を検討することが大切となってきます。

そして、決して忘れてはならないのが、システム化は手段にしか過ぎないということです。システム化の導入ばかりに気を取られて、介護の真の目的を忘れてしまっては何の意味もありません。

一番大切にしなければならないことは、利用者の生き甲斐や生活の質(QOL)の向上や、スタッフが働きやすい環境であることを意識し、「システム化により、今抱えている課題は解決するのか」を念頭に置きながらシステム化の導入を検討していきましょう。

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