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生前整理の進め方とは?訪問介護員の役割と重要性を徹底解説

「終活」という言葉がはじめて世に出たのは、2009年に某週刊誌で使用されたことが最初とされています。数年経ち、現在では「生前整理」という言葉も利用されるようになりました。
今回のコラムでは、その生前整理について解説していきます。
生前整理がなぜ大切なのか、訪問介護員の立場でどのようなことができるのかなど、具体的な方法も合わせてご説明します。
生前整理を行う上で何をすればいいかわからない方や、訪問介護員の立場でできることを知りたい方は最後まで読んで参考にしてください。
目次
生前整理とは
この章では、生前整理とは何なのかについて解説します。
そもそも終活における「整理」はいくつかの種類があることをご存知でしょうか?その種類は以下の3つです。
- 生前整理
- 遺品整理
- 老前整理
上記の3つは同じ整理でも時期やタイミング、整理する目的で大きく異なるため3つに分けられています。
では、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。
以下に3つの違いをまとめた早見表を作成しました。参考にしてみてください。

それぞれ整理するタイミングや目的、整理するのが誰なのかによって整理の種類が異なります。
なかでも生前整理は、本人が元気なうちに遺族へ負担をかけないために行うものということが確認できました。
では、生前整理はどうして行う必要があるのでしょうか。
遺族への負担を減らす具体的な内容も含めて、次の章でご説明していきます。
生前整理の重要性
生前整理の重要性とは、具体的にどのような内容があるでしょうか。一般的に言われているのは以下の5つです。
- 遺族の負担軽減
- 相続トラブルの回避
- 部屋の清潔を確保
- 大切なものの廃棄を回避
- 人生と心の整理
ひとつずつ解説するので、気になる方はぜひ参考にしてください。
遺族の負担軽減
あまりいい例えではありませんが、整理されていない状態で大切なご家族が亡くなったとしましょう。そういった場合、葬儀の手配などを同時並行で行いながら整理しなくてはいけません。
大切な家族が亡くなったなかで、そこまで余裕を持って作業にあたれる人は多くありません。
ましてや、遺品を冷静に確認しながら整理することなどできないでしょう。
誤って大切なものを捨ててしまうこともあるかもしれません。
相続トラブルの回避
生前整理を行うことで、残された遺族への相続トラブルも回避することができます。借金、もしくは遺産で大きく分かれるところですが、どちらの場合も相続トラブルは起こります。
そのため、家族間で話し合って財産の把握をすることも大切です。
部屋の清潔を確保
生前整理を行うことで、部屋の清潔を確保することができます。部屋を清潔に保つことで、日常生活を快適に過ごせますし、大切なものをどこにしまっているか把握しやすいです。
いざという時も安心できるのが、重要なポイントの1つですね。
大切なものの廃棄を回避
生前整理を行うと、大切なものを誤って廃棄せずに済みます。物を整理するときに直面するのは、大切な物がどれかわからない場面です。
本人であれば判別できるものを、遺族が整理することで何が大切なもので、重要な書類(家の登記や契約書など)なのかわからないことが起こります。
その結果、手続きに必要な書類や、大切な思い出などが廃棄されてしまうことになります。
生前整理を行うことで、その判別もスムーズになるため重要なポイントの1つと言えるでしょう。
人生と心の整理
荷物の整理をしていると、昔懐かしい思い出の品を見つけることがあると思います。生前整理を行う重要性は、何も現実的な部分だけではありません。
ご自身の荷物を整理していくなかで、過去の思い出や人生の振り返りを行い、心の整理をする時間でもあります。
落ち着いた空間で整理をしながら、ご自身の人生を振り返ることは大切なことです。
生前整理は、次の一歩を踏み出すためにも大切な作業と言えるでしょう。
訪問介護員が生前整理に関わる意義
訪問介護員が生前整理に関わる意義は、4つあります。
- 利用者様の生活動線を熟知している
- 利用者様との信頼関係が築かれている
- 訪問介護員として第三者の目線で客観的アドバイスができる
- 重い荷物の運搬など、体力的な面でサポートができる
ただし、これらの内容は利用者様の自宅に何度か足を運び、信頼されることが前提条件となってきます。
理由は、生前整理の物自体が個人情報などのものが多く、デリケートな問題だからです。
万が一、訪問介護の仕事をしていて生前整理の相談を受けたら、1人で判断せずに事業所の上司に相談しましょう。
利用者様の話を傾聴して、相談内容の詳細を把握しておいてください。
参考・引用:一般社団法人終活協議会想いコーポレーショングループ「生前整理が大切な理由を業界関係者が紹介。メリット・デメリットや進め方を解説 」
相続税のチェスター「今から始める生前整理 │メリットやデメリット・進め方・業者を解説」
生前整理を進める上で、具体的な関わり方
では、利用者様が生前整理を行いたいとなった場合、訪問介護員ができる具体的な関わり方はどのようなものがあるのでしょうか。以下にまとめたので、参考にしてください。
- 家財や貴重品などの把握を勧める
- エンディングノートの作成を勧める
- ご家族や担当ケアマネジャーへの相談を促す
1つずつ解説するので、具体的な内容が知りたい方は一読ください。
家財や貴重品などの把握をすすめる
家の中に何があって、どこにしまってあるのかを分かりやすく明記して、把握しておくことをおすすめします。そうすることで、認知機能が低下したときでも物の場所をすぐに確認できるからです。
大切な書類などの紛失を避けるために行うといいでしょう。
エンディングノートの作成をすすめる
利用者様が認知症などの症状がない場合、何からやりたいかも含めたエンディングノートの作成をすすめてみるといいでしょう。エンディングノートを作成することで、利用者様が何をしていきたいのかなどの判断をしやすくなります。
また、いざという時に伝えておきたい情報(口座の暗証番号など)を書いておくこともできるので、個人情報の共有にも役立ちます。
大切な情報を書くこともあると思うので、管理の徹底も忘れないようにしましょう。
ご家族や担当ケアマネジャーへの相談を促す
訪問介護員が、利用者様のためにできる3つ目のことは、「生前整理について相談してみてはいかがですか?」とご家族や担当のケアマネジャーへ利用者様の方から相談することを促すことです。この対応方法は、利用者様がご家族やケアマネジャーと相談しやすいかどうかも大切なポイントとなってきます。
あまり関係が良好で無い場合や、利用者様自身が相談したく無い意思を示した場合は、無理強いせずに事業所の上司に相談するようにしましょう。
まとめ
訪問介護員は定期的に利用者様と関わるため、生前整理を行っていくうえで重要なポジションにいると言えます。
日常的に利用者様と関わるため、訪問介護員に生前整理の相談をしてくれるケースもあると考えられるからです。
そんなときに、ご家族やケアマネジャーなどと連携を図ったり、事業所の上司に相談することで、より円滑に生前整理のお手伝いをすることができます。
生前整理を行うことは、利用者様やご家族が生活しやすい環境づくりのお手伝いになるため、可能な範囲でお手伝いしてあげましょう。
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【ライター】〈介護×終活ライター〉かきざき
執筆実績は300記事以上。
介護歴14年の現役介護士が、介護と終活の記事を、わかりやすく執筆します。
〈得意な執筆ジャンル〉介護、終活、遺品整理、葬式、リユース
〈保有資格〉介護福祉士、終活ガイド1級
執筆実績は300記事以上。
介護歴14年の現役介護士が、介護と終活の記事を、わかりやすく執筆します。
〈得意な執筆ジャンル〉介護、終活、遺品整理、葬式、リユース
〈保有資格〉介護福祉士、終活ガイド1級