-
公開日:
-
更新日:
訪問介護ヘルパー必読!利用者が喜ぶ、栄養満点お手軽献立

訪問介護における「調理支援」は、利用者の健康と日々の楽しみを支える大切な仕事です。
食事を楽しみにしている高齢者は多く、栄養バランスの取れた温かい食事は、健康面だけでなく、生活の質の向上や精神的な安定にも役立ちます。
しかし「時間や調理器具が限られている中で献立を考えて調理できるのか?」「冷蔵庫にあるもので何を作ろう?」「味が薄いと言われたらどう対応すれば?」といった悩みは尽きません。
では、利用者の健康を支える食事とはどのようなものでしょうか。
本記事では、調理支援の疑問や不安に応える献立のポイントや具体例、調理のコツを分かりやすく解説します。
目次
献立を考えるうえでのポイント
訪問介護の調理支援では、単に美味しい食事を提供するだけでなく、栄養面や食べやすさ、健康状態、生活状況などに配慮した献立作りが求められます。 ここでは、献立を考える上で押さえておきたいポイントを6つ解説します。
栄養バランス
高齢者の食事は、食事量が減ったり、あっさりしたものを好むようになったりすることで、タンパク質やビタミンなどの栄養素が不足しやすくなります。以下は、高齢者が不足しやすいタンパク質、ビタミン、食物繊維の摂取目安です。

これらは、体重や持病などによっても異なるため、主治医にも相談すると良いでしょう。
また、厚生労働省と農林水産省が示す「食事バランスガイド」も参考に、主食・主菜・副菜を揃えた献立を心がけることが大切です。
参考:農林水産省「食事バランスガイド」(https://x.gd/xFi2o)
食材と調理法
高齢になると、噛む力や飲み込む力が低下する傾向があります。安全に美味しく食事を楽しんでもらうためには、以下のような工夫が不可欠です。
- 肉は柔らかい部位を選ぶ
- 野菜は繊維を断ち切るように切る、細かくきざむ
- 煮る、蒸すといった調理法で柔らかくする
- 必要に応じてとろみをつける
利用者の状態に合わせた配慮が誤嚥防止に繋がります。
嗜好や宗教・習慣にも配慮する
食事は栄養補給だけでなく楽しみの一つです。長年慣れ親しんだ味付けや好きな食べ物、宗教上の理由で口にできない食材など、個々の嗜好や文化、習慣を尊重する必要があります。アレルギー情報と共に、これらの情報を事前にしっかりと把握し、献立に取り入れることで、利用者の満足度向上を目指しましょう。
食欲が落ちている場合の工夫
加齢や体調の変化によって食欲が低下している方も少なくありません。 そのような場合は、見た目の彩りや良い香りで食欲を刺激しましょう。 一度にたくさん食べられない場合は、少量でも栄養価の高い食材を選んだり、食べやすいように一口大にカットしたりする工夫も有効です。調理時間と手間のバランス
訪問介護の調理支援は、訪問の時間内で行わなければなりません。事前に献立全体の流れを考え、段取り良く調理する必要があります。
- 茹でたり煮たりしている間に別の作業を進める
- 下ごしらえ済みの食材や冷凍野菜なども活用する
- 調理工程を簡略化する
冷蔵庫の中身や限られた器具での対応
訪問介護では、利用者宅にある食材や調味料、調理器具を使って調理を行います。そのため、冷蔵庫の中身を素早く把握し、それらを組み合わせて献立を考える「ありもの調理」のスキルが求められます。
醤油や砂糖などの調味料が揃っているか、どんな調理器具があるかといったことも事前に確認しておくとスムーズです。
電子レンジを上手く活用するなど、限られた環境でも工夫次第で調理の幅は広がります。
参考:健康長寿ネット(https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/rounensei/tei-eiyou.html)/みんなの介護(https://x.gd/DOxjg)/MORINAGA(https://x.gd/tycNc)/「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316585.pdf)/日本人の食事摂取基準(2020 年版)「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書(https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf#page=133)/農林水産省「食事バランスガイド」(https://x.gd/xFi2o)
訪問介護ヘルパーおすすめ献立例
ここでは栄養バランスや食べやすさ、調理の手軽さを考慮した献立例を3パターン紹介します。
利用者の状態や好み、冷蔵庫の中身に応じてアレンジし、日々の調理のヒントにしてください。
献立例1:和食の定番!ほっこり栄養満点メニュー
主食: ご飯(またはお粥)
主菜: 鶏ひき肉と豆腐のあんかけ
副菜: ほうれん草の胡麻和え
汁物: 大根と油揚げの味噌汁
主菜: 鶏ひき肉と豆腐のあんかけ
副菜: ほうれん草の胡麻和え
汁物: 大根と油揚げの味噌汁
和食は高齢者にも馴染み深く食べやすいのが魅力です。
主菜のあんかけは鶏ひき肉と豆腐でタンパク質を確保し、きざみ野菜を追加すれば栄養価もアップします。
あんで具材をまとめるため、飲み込みやすくなります。 副菜の胡麻和えや具沢山味噌汁でビタミン、ミネラルも補給でき、栄養満点な献立になります。
献立例2:洋食風アレンジ!食欲そそる彩りメニュー
主食: パン(柔らかい食パンやロールパン)、またはご飯
主菜: 鮭のクリーム煮
副菜: マカロニサラダ
スープ: かぼちゃのポタージュ
主菜: 鮭のクリーム煮
副菜: マカロニサラダ
スープ: かぼちゃのポタージュ
洋食も工夫次第で高齢者向けにアレンジ可能です。主菜の鮭クリーム煮はタンパク質とビタミンを同時に摂取できます。
マカロニサラダやかぼちゃポタージュは彩り豊かで食欲を刺激します。飲み込みやすさも考慮した献立です。
献立例3:時短&簡単!中華風バランスメニュー
主食: ご飯(または中華粥)
主菜: 麻婆豆腐
副菜: きゅうりとカニカマの中華風和え物
スープ: ふわふわ卵とわかめのスープ
主菜: 麻婆豆腐
副菜: きゅうりとカニカマの中華風和え物
スープ: ふわふわ卵とわかめのスープ
中華風メニューは限られた時間での時短調理に便利です。
主菜の麻婆豆腐は豚ひき肉と豆腐でタンパク質を確保し、とろみもついているため食べやすい一品です。
副菜の和え物や卵スープは簡単な調理で栄養と彩りをプラスします。手早く作れ、栄養バランスも取れた献立です。
よくある調理支援の悩みと解決策
訪問介護の調理では、予期せぬ状況に戸惑うことも少なくありません。
ここでは、ヘルパーが抱えがちな3つの悩みと、すぐに実践できる解決策や対応のヒントをご紹介します。
調味料が限られているときは?
調味料が少ない場合でも、醤油、砂糖、塩などの基本調味料と出汁で味の基本は作れます。ネギや生姜といった香味野菜やレモン汁などの酸味で風味を加え、蒸し料理やホイル焼きで素材の味を活かせば、少ない調味料でも美味しく仕上がります。
事前に確認し、どうしても足りない調味料がある場合は、事業所に相談しましょう。
器具がそろっていない家の場合
器具が少ない場合、フライパン一つや電子レンジで作れるレシピが役立ちます。野菜の下茹でや蒸し料理は電子レンジでも可能です。
キッチンバサミの活用や、アルミホイルで落し蓋を代用する工夫も有効です。
安全を最優先し、無理のない調理を心がけましょう。
「味が薄い」と言われたときの対応
「味が薄い」と言われたら、まずは利用者の言葉を受け止め、普段の味付けの好みを丁寧に伺います。その場で少量の醤油やだしで調整するか、調味料を別添えするのもよいでしょう。
次回に活かすため、利用者の好みを記録し情報共有することも大切です。
加齢による味覚の変化も理解しつつ、健康面も考慮したコミュニケーションを心がけましょう。
まとめ
本記事では、訪問介護の調理支援における献立のポイントや献立例、調理支援の悩みと解決策について解説しました。
利用者の好みや持病など、調理に必要な情報の記録・共有は、ケアの質向上に不可欠です。
介護ソフトを活用すると、利用者の好みや調理する際の注意事項を効率的に共有できるので、チーム内の情報共有や業務効率化に興味のある方は、以下の資料をぜひチェックしてみてください。
<ライター> 織田さとる
介護業界で20年以上の実務経験を持つケアマネライター。専門学校卒業後、特別養護老人ホームで介護福祉士、ケアマネジャー、生活相談員として勤務。現在も施設で働きながら、介護・福祉分野の記事を執筆している。
保有資格:ケアマネジャー、介護福祉士、社会福祉士、公認心理師など。
介護業界で20年以上の実務経験を持つケアマネライター。専門学校卒業後、特別養護老人ホームで介護福祉士、ケアマネジャー、生活相談員として勤務。現在も施設で働きながら、介護・福祉分野の記事を執筆している。
保有資格:ケアマネジャー、介護福祉士、社会福祉士、公認心理師など。