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現役主任ケアマネ直伝!選ばれる訪問介護事業所になるには?
「以前はよく連絡をくれていたケアマネから、新規の相談があがってこない」
「営業しても反応が薄くて、ダメだった理由がわからない……」
こうした状況に、心当たりのある訪問介護事業所様も多いのではないでしょうか。
本コラムでは、現役の居宅ケアマネジャーの視点から、
- ケアマネジャーはどのように訪問介護事業所を選んでいるのか
- なぜ、あの事業所に紹介が集まるのか
目次
営業先の最重要パートナー「ケアマネ」の基礎理解
まずは、改めて「居宅(在宅)ケアマネジャー」の役割を整理しておきます。
ケアマネジャーは、利用者の状態や希望に応じた最適なケアプランを作成し、サービスの調整を行う在宅ケアのコーディネーターです。 医療や介護、福祉など様々な専門職との連携の中心にいる存在であり、多くのサービス事業所との間に立って調整を行います。どの事業所に依頼するのかを選ぶ意思決定者です。
利用者や家族の意向、状態、生活環境、地域の資源を総合的に踏まえ、「このケースなら、この事業所にお願いしたい」とひとつひとつ選び、依頼をしています。
つまり、訪問介護事業所にとってケアマネジャーは、最重要のビジネスパートナーと言っても過言ではありません。
ケアマネはどのように事業所を選ぶのか
次に、ケアマネジャーが実際に事業所へ新規依頼を行うまでの流れをご紹介します。
① 利用者ニーズの把握
まず一番に行うのは、利用者ニーズの把握です。- 身体介護なのか、生活援助なのか
- 認知症の有無や症状の特徴
- 医療依存度はどの程度か
- 家族の支援状況はどうか
といった点を、アセスメントや日頃の関わりを通じて整理していきます。
「掃除だけなら受けてもいい」と言っているサービス拒否の方や、「デイには行きたくないけれどヘルパーさんなら受け入れられそう」という方など、状況はさまざまです。
② 訪問介護事業所の情報収集
次に行うのは、訪問介護事業所の情報収集です。- 対応エリア(移動時間はどれくらいか)
- 対応可能な時間帯(朝・夜・土日など)
- 対応可能なサービス内容や専門性
- サ責やヘルパーの対応の丁寧さ、相談のしやすさ
こうした情報は、パンフレットやホームページだけではなく、日々のやり取りや担当者会議、電話での相談の中で少しずつ蓄積されていきます。 ケアマネジャーは、困ったときに思い出せる事業所のリストを、頭の中に自然と持っているのです。
③ 条件による絞り込みと依頼する順番
3番目に行うのが、条件による絞り込みです。- 今までの対応の質
- 報告・連絡・相談の速さと内容
- スタッフの技術や安定性
- 他のケアマネジャーから聞いている口コミ
これらを総合的に踏まえたうえで、「ここが良さそうだ」と思う事業所から、優先順位をつけて連絡していきます。
つまり、ケアマネジャーの目線では、「一番に思い浮かぶ事業所」になれるかどうかが、非常に大きな差になるのです。
ケアマネが見ている本当の判断基準
実際に、ケアマネジャーが事業所の何を見て判断しているのかを4つに絞ってお伝えします。
① サ責の対応力
訪問介護は、ケアプランの変更や緊急の依頼が発生しやすいサービスです。だからこそ、サ責の対応力は、ケアマネジャーにとって非常に重要な判断材料になります。例えば、以下のような点です。
- 電話・メールへのレスポンスが早く、返事が明確
- サ責が不在の時でも、きちんと情報が引き継がれている
- ケアマネジャー、利用者、家族それぞれへの接し方が丁寧で安心感がある
- 何かあった時にすぐ相談できる雰囲気がある
こうしたサ責さんがいる事業所は、ケアマネジャーにとって本当に頼もしい存在です。
逆に、連絡が付きにくい・返事が曖昧・話が通じにくい、といった印象が一度でもついてしまうと、「次の依頼先リスト」から外れてしまうこともあります。
② 報告・連絡・相談(特定事業所加算を取っているか)
2つ目は、初回訪問、緊急対応、状態変化の時の報告・連絡・相談の質とスムーズさです。初回訪問後に、状態の変化があったとき、「今日の〇〇さん、こういう様子でした」とニーズを踏まえたタイミング良い報告をもらえると、ケアマネジャーとしては本当に安心します。
その点で、特定事業所加算を取っている事業所は、質が担保されている、という信頼感があります。
必要な情報を、タイミングを踏まえて連携を取って伝えてくださる、そんな事業所は、ケアマネジャーからの信頼が一気に深まります。
③ 利用者・家族への接し方
3つ目のポイントは、利用者・家族への接し方です。例えば、利用者からケアプラン以外の依頼があった場合を考えてみましょう。
「どうしてそう思われたんですか?」と一度背景を聞いてくれる事業所。この対応が、信頼感に大きく影響します。
もちろん、制度上できないことは「できない」とお伝えしなければなりません。
しかし、その理由や背景をケアマネジャーに共有してくださるだけで、ケアマネジャーは次の提案や調整が非常にしやすくなります。 安心感のある人柄や接し方そのものが「選ばれる理由」になります。
④ チーム連携への姿勢
最後の4つ目は、チームの一員としての連携姿勢です。- サービス担当者会議に協力的
- 訪問看護やデイサービス職員など他事業所との連携ができる
- 書類提出や情報提供が速い・正確
これらが揃っている事業所は、ケアマネジャーにとって最強の味方です。
例えば、担当者会議にやむを得ず参加できない場合でも、事前に情報提供をしっかりしてくれるだけで、「この事業所さんは、ちゃんと連携しようとしてくれている」と感じられます。 連携したいという姿勢そのものが、選ばれる理由になるのです。
営業せずに継続して依頼が来る事業所とは
最後に、営業なしで依頼が来る事業所の特徴をご紹介します。
よかれと思ってやってきたことが逆効果になってしまうケースもありますので、ぜひ最後までご確認ください。
初回のやり取りで印象が決まることも
まったくお付き合いのないケアマネジャーから新規依頼を受けるために、まず大切なのは、初回のやり取りです。例えば、ケアマネジャーが新規依頼の連絡をしたとき、対応が困難なときでも、「全部は難しいのですが、〇曜日の夕方なら調整できるかもしれません」といってくださる姿勢が、「またお願いしようと思えるか」につながります。
例え週に一回でも利用につながり、関係性が作れたら、その後依頼したい事業所リストに上がってくることは間違いありません。
パンフレットの渡し方 その営業、今は逆効果かも
「最近、何かお困りのことはありますか?」「認知症の方でサービスを嫌がられるケースって多くないですか?」のように、ケアマネジャーの悩みや困りごとを聞いてくれる営業は、信頼されやすく効果的だと言われています。しかし、それが広まってきたのか、今、営業に来られる方、皆さん先のような問いかけをされるようになってきています。
1日に何人も来られる中で、このように話されると、ケアマネジャーとしては、「毎回同じことを聞かれる……」と思い始めています。
「認知症の拒否が強い方の対応が得意」「家族支援や看取りに強みがある」など、得意分野や経験値が具体的に伝わる基本の営業のみのほうが、いまは受け入れやすくなっていると感じています。営業を行う際は、相手に興味を持ち、相手の気持ちを知ることが重要です。
一人ひとりのケアマネジャーと関係性を作っていくことが、営業なしでも依頼やリピートが来ることにつながります。
まとめ
ここまで、居宅ケアマネジャーの視点から、ケアマネが新規依頼をする流れや、事業所を選ぶ基準、選ばれる事業所になるためにはどんな点に気をつけるとよいかをお伝えしてきました。こうした信頼関係を支える土台になるのが、日々の介護記録と、それをもとにした迅速で正確な情報共有です。
弊社の介護記録システム「Care-wing(ケアウィング)」は、ICタグとスマートフォンを使って実施記録を行う、介護記録ソフトです。 過去の訪問記録をその場で確認できるため、事務所に戻らなくてもスムーズに訪問業務を行うことができます。
また、管理者・サ責の方は、パソコンからヘルパーの状況を随時確認でき、訪問記録がリアルタイムに反映されることで、「記録用紙が届かない」といったトラブルも防ぐことができます。
この記事をきっかけに、ひとつでも「自社で取り入れてみよう」と思えるポイントが見つかりましたら幸いです。
そして、ケアマネジャーから真っ先に選ばれる事業所を一緒に目指していければと思います。
Care-wingの資料請求や個別説明会も受け付けておりますので、ご興味があれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。
<ライター> せつなを
ケアマネジャーとして20年の経験を持つ。
グループホーム、小多機、通所介護の立ち上げに携わるなど、長年にわたり多様な地域支援に従事。
出版した3冊の電子書籍はいずれも4部門一位獲得。
現在もフルタイム・主任ケアマネジャーとして働きながら、介護現場の実体験に基づいた一次情報を発信している。
ケアマネジャーとして20年の経験を持つ。
グループホーム、小多機、通所介護の立ち上げに携わるなど、長年にわたり多様な地域支援に従事。
出版した3冊の電子書籍はいずれも4部門一位獲得。
現在もフルタイム・主任ケアマネジャーとして働きながら、介護現場の実体験に基づいた一次情報を発信している。
